【競馬】棋王・渡辺明が忘れられない「痛恨の日本ダービー」 (3ページ目)

  • 河合力●構成 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 また、このときは、あるスポーツ新聞に自分のダービーの予想を掲載することになっていました。それで、あまり自信のないレースでしたから、堅い予想を載せるよりは、穴馬を推したほうが「紙面が映えるだろう」という考えもあって、滅多にやらない大穴狙いを試みたわけです。

 レース前に購入した馬券は、ペプチドアマゾンの複勝と、人気馬に流した三連複と三連単。「なんとか、3着までに入ってくれれば……」という気持ちではいましたが、正直なところ、自信はまったくありませんでしたよ。

 それが、レースがスタートすると、一転して望みを抱き始めました。というのも、(18頭立ての)16番という外枠からスタートしたペプチドアマゾンが、1コーナーでうまくインの3番手に収まったんです。これを見て、3着までなら「チャンスはあるかも」と思いましたね。その後も、スムーズに運んで、最後の直線では先頭争いに加わってきたんです。

 直線ではまさに横一線の叩き合い。ペプチドアマゾンの脚も衰えることなく、残り200mを切っても先頭を争っていました。さすがに残り100mあたりで、外から追い込んできた1着キズナと2着エピファネイアにはかわされてしまったのですが、とにかく僕が注目していたのは3着争い。最後は、内で逃げ粘るアポロソニックと、外から迫る皐月賞馬ロゴタイプの間にいる、ペプチドアマゾンしか見ていませんでした。

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