【競馬】皐月賞、名手騎乗のベルーフが実力馬の間隙を突く (2ページ目)

 ただし、同レースで内容的に「勝った」と思えるのは、2着のリアルスティール(牡3歳)でした。当時、インコース有利の馬場状態の中、キタサンブラックは1枠1番という好枠を生かして、まったくロスのない競馬で、完璧なレース運びを見せました。翻(ひるがえ)って、リアルスティールは、将来的なことを考慮してか、内で脚をためる競馬に徹していましたからね。

 それに、おそらくリアルスティールは、2歳王者のダノンプラチナ(牡3歳)を目標に置いて、同馬に対する脚を測っていたと思います。その結果、ダノンプラチナはかわしたものの、たまたまその前にもう一頭(キタサンブラック)いた、という感じでした。それだけに、本番でより魅力を感じるのは、リアルスティールです。

 とにかく、2着に敗れたとはいえ、リアルスティールにとっては、本番に向けて十分に収穫のあるレースでした。また、"全勝"ではなくなったことで、プレッシャーからも解放され、これからは楽な競馬ができるようになるでしょう。皐月賞のみならず、その先のダービーに向けても、本当にいい"トライアル"だったと思います。

 これら実力馬の壁はかなり厚いと思いますが、スプリングS4着だったベルーフ(牡3歳)を今回の「ヒモ穴馬」に取り上げます。

皐月賞で波乱を演出しそうなベルーフ。皐月賞で波乱を演出しそうなベルーフ。 スプリングSでは、直線で抜け出しそうな走りを見せながら、最後は伸びを欠いて4着に敗れてしまいました。そのレース内容は、外枠発走ながら快勝した京成杯(1月18日/中山・芝2000m)のときとは、明らかに違っていました。集中力が足りなかったように思えます。弥生賞では、どうもこの血統特有の気の悪さが出てしまったようですね。

 しかし、集中力さえ戻れば、無類の勝負強さを持つベルーフ。前述の京成杯でも、終(しま)いで豪快な伸び脚を見せて勝ち切りました。

 この中間は、ブリンカー(遮眼革。馬の視野を制限するための馬具)をつけて調整しているとのこと。効果がある馬には、すごく効き目があります。本番でも初めてブリンカーを着用するようで、その辺りにも勝負気配を感じます。

 母は重賞2勝のレクレドール(ステイゴールドの全妹)という血統馬です。鞍上が、全国リーディングでトップ争いをしている戸崎圭太騎手というのも魅力。一発を狙う騎乗をすれば、チャンスがめぐってくる可能性は十分にあると思います。

大西直宏が払戻100万円を狙う【皐月賞の◎〇1点馬券】
果たしてその2頭とは!?今すぐ無料で教えます!!

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る