【競馬】皐月賞、流れは完全にドゥラメンテに向いている

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 しかし、これだけの名牝系でも、なぜか牡馬クラシックには縁がない。エアグルーヴの仔フォゲッタブルが2009年GI菊花賞(京都・芝3000m)で2着に入っているが、ルーラーシップも2010年、プリンシパルSを4馬身差で圧勝して臨んだGI日本ダービー(東京・芝2400m)ではエイシンフラッシュの5着に敗れている。

 そして、父のキングカメハメハも、牝馬では2010年の3冠馬アパパネを出してはいるが、牡馬のクラシックホースは出ていない。皐月賞で2014年にトゥザワールドが2着、日本ダービーでは2010年ローズキングダムが2着と、連対はしているが、勝ち切るには至っていないのだ。

 ドゥラメンテの兄姉は出走した4頭がすべて勝利を挙げ、全姉アドマイヤセプターは2012年GIII京阪杯(阪神・芝1200m)2着など短距離戦線で活躍し5勝を挙げたものの、「クラシックホースを」というこの血統に向けられた大きな期待には応えられずにいた。

 そんななか現れたのが、母の最後の産駒となるドゥラメンテであり、兄姉とはひと味違う素質の高さを見せつける。昨年11月の2戦目(11月8日/東京・芝1800m)を6馬身差で圧勝すると、約3カ月ぶりの出走となったセントポーリア賞(2月1日/東京・芝1800m)でも5馬身差の圧勝。一躍、クラシック候補の1頭に躍り出たのだ。

 続く共同通信杯(2月15日/東京・芝1800m)では、4戦連続で1番人気に推されながら、道中で折り合いを欠き、位置取りが悪くなってリアルスティールの2着に敗れてしまったが、この走りは「あれだけ折り合いを欠いてリズムを崩しての2着はすごい」と、改めてこの馬の強さを再確認させる内容だった。

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