【競馬】安藤勝己セレクト「2015年3歳牡馬クラシック番付」 (4ページ目)

  • 新山藍朗●構成 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

前頭一枚目:ブライトエンブレム(牡3歳)
(父ネオユニヴァース/戦績:4戦2勝、2着1回、着外1回)

 2戦目の札幌2歳S(2014年9月6日/札幌・芝1800m)が強い競馬だった。札幌の芝は他の会場と比べると力がいる馬場だからね、4角で後方にいたら、普通の馬ではとても届かない。それがこの馬は、後方の、それも大外から仕掛けていって、前の馬群をあっさりと差し切っちゃった。こりゃ、強い馬だな、と思ったよ。

 休み明けのGI朝日杯FSでは7着に沈んだけれども、前走の弥生賞では2着と巻き返した。母がGI馬のブラックエンブレムと血統的な裏づけもあるし、もともとそれぐらいの能力は秘めている馬。皐月賞、ダービーでも、チャンスはあると思う。道中、じっと脚をためて、最後の直線勝負にかける――それで流れさえ向いていれば、まとめて差し切ってもおかしくないよ。


前頭二枚目:ダノンプラチナ(牡3歳)
(父ディープインパクト/戦績:5戦3勝、2着1回、3着1回)

 前走のスプリングSは3着にとどまった。道中、多少力んで走っているように見えたから、朝日杯FS以来という、休み明けの影響が少なからずあったんだろうね。まあ、そもそもスプリングSは、あくまでも皐月賞の“試走”というイメージで、どうしても勝ちたいという感じではなかった。それでいて大崩れしないんだから、“2歳チャンピオン”たる底力が備わっている、ということだろうね。

 朝日杯FSでは、最後にいい切れ味を見せて快勝した。あの脚が再現できれば、本番でも面白い。頭の高い走りっぷりを見ると、距離はあまり長くないほうがよさそうだから、陣営にとっての勝負は皐月賞だろうね。

       ◆       ◆       ◆

 ここに挙げた馬以外にも、重賞勝ちのある、底力のある有力馬はたくさんいる。前哨戦で敗れているとはいえ、本番で巻き返す可能性は十分にある。また、ダービーでは、他の路線から台頭してくる馬が結構いそう。混戦の中、意外な馬が頂点に立っても不思議ではない。その分、馬券的な妙味は増すかもしれないね。

安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として奔走している。

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