【競馬】ダービー路線に突如現れた「大物」グレーターロンドン

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 昨春、トレセンに入厩した当初は体も小さく、馬体重は400kgほどしかなかったという。その分、あまり目立つ存在ではなかったが、その後の成長には、目を見張るものはあったようだ。先述のトラックマンが続ける。

「1年のうちに馬体はどんどん大きくなって、昨年末の段階で馬体は470kgほどに増えていました(デビュー時は460kg)。それにつれて、競走能力も開花していきましたね。加えて、気性も従順な様子で、『距離が伸びても、折り合いに苦労する心配はなさそう』と、陣営は分析しています。今後は、山吹賞(4月4日/中山・芝2200m)を使って、ダービートライアルに向かう予定。3連勝でのダービー出走という可能性も十分にありますね」

 1600m戦でデビューしたグレーターロンドンは、次走で一気に距離延長を強いられる。しかし、初戦が1600mになったのは、デビューの延期や除外によって、使いたい距離のレースを使えなかったため。本来は2000m付近のレースでデビューさせる予定だっただけに、距離延長の心配はなさそうだ。

 もとより、グレーターロンドンの母は、1998年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)で2着と健闘したロンドンブリッジ。彼女が産んだ初仔のダイワエルシエーロは、2004年のGIオークス(東京・芝2400m)を逃げ切って優勝した。グレーターロンドンは、オークス馬の弟に当たるわけで、距離が延びて、より強さを発揮してもおかしくない。

 そうした血統背景も加わって、ますます注目度が上がっているグレーターロンドン。陣営が期待する素質馬は、クラシック戦線の"新星"として、一段と輝きを増すことができるのか。遅れてきた大物が、夢舞台を見据えてまた一歩、歩を進めていく。

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