【競馬】共同通信杯。ティルナノーグが「2強」の一角を崩す (2ページ目)

 これほど強力な2頭が参戦する共同通信杯。そこに割って入るような馬はいるのか......正直、かなり厳しいと思いますが、少しだけ可能性を感じている馬がいます。ティルナノーグ(牡3歳)です。同馬を今回の「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

共同通信杯で巻き返しを狙うティルナノーグ。共同通信杯で巻き返しを狙うティルナノーグ。 デビューから2連勝を飾ったティルナノーグ。特に2戦目の紫菊賞(2014年10月18日/京都・芝2000m)では、「前に届くのか?」という位置から差し切り勝ちを収めました。この馬もまた、非凡な決め手を秘めている一頭です。

 確かに、ここ2戦はその決め脚がまったく影を潜めて、大敗を喫しています。前々走の京都2歳S(7着。2014年11月29日/京都・芝2000m)では、やや重の緩い馬場が影響したのか、直線に入ってからも前に進んでいかない感じでした。前走のホープフルS(10着。2014年12月28日/中山・芝2000m)は良馬場でしたが、この馬に限らず、外枠の発走で外を回らされた馬は競馬になっていませんでしたね(ティルナノーグは8枠15番)。小回りコースの中山ゆえの"展開のあや"があったと思います。

 こうして敗因がはっきりしていることを考えれば、今回は巻き返しが期待できます。コーナーが緩く、直線の長い東京コースも、ティルナノーグの能力を発揮しやすいと思います。馬場さえ良ければ、2戦目で見せた強烈な末脚を繰り出してくれるのではないでしょうか。

 鞍上は、キズナで京都記念に挑む武豊騎手に代わって、田辺裕信騎手が務めます。田辺騎手と言えば、代打騎乗、とりわけテン乗り(初めてその馬に騎乗すること)で好成績を挙げています。それもまた、強みになりそうですね。

 他の騎手もやっていることだと思いますが、田辺騎手はそれ以上に、騎乗馬の過去のレースビデオを何度も見て、事前に騎乗イメージをしっかりと作っているのでしょう。そのうえで、パドックで初めて馬に跨(またが)る際には細心の注意を払ってコンタクトし、さまざまな感触をそこで確かめているはず。さらに、返し馬のときにはイメージどおりの競馬ができそうか、きちんと馬をコントロールできそうかなど、レースまでの間に緻密な準備を重ねていると思います。だからこそ、初騎乗の馬でも、いい結果を出せるのではないでしょうか。

 田辺騎手がティルナノーグをどう導いていくのか、その騎乗ぶりに注目です。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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