【競馬】2015年クラシックの「主役」は、本当にディープ産駒か (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

 こうしてみると、今年のクラシック戦線も主役を張るのは、やはりディープ産駒と言えそうで、牝馬戦線も、ディープ産駒のショウナンアデラが阪神JFを制し、同馬がクラシックでも中心になる、というのが大方の見方だ。

 ただし昨春のクラシックも、下馬評では「ディープ産駒の独壇場」と言われながら、結果を出したのは桜花賞のハープスターだけだった。リーディングサイヤーとしての座は揺るがないにしても、ことクラシックに限れば、決してディープ産駒の「天下」とは言えない。むしろ、戦国模様と言っても過言ではない。

 ディープ産駒を脅かすのは、昨年のオークス(ヌーヴォレコルト)とダービー(ワンアンドオンリー)を制したハーツクライ産駒に、2014年リーディングサイヤー2位のキングカメハメハ産駒。そして、一気にブレイクの気配を感じさせているのが、新種牡馬ハービンジャー産駒たちだ。初年度産駒がデビューした昨年は21勝を挙げて、そのうち16勝が1800m以上のレース。クラシックに対応した距離適性を示し、初年度産駒からクラシックホースの誕生が期待されている。

 ハービンジャー産駒の注目株は、叔父に2011年の天皇賞・秋を勝ったトーセンジョーダン、2012年のダービー3着馬トーセンホマレボシが、いとこに重賞2勝のトーセンスターダムがいるトーセンバジル(牡3歳)。4戦2勝2着2回という堅実な成績を収めているうえ、年末の葉牡丹賞(12月6日/中山・芝2000m)では、ホープフルSの勝ちタイム(2分01秒9)よりも1秒も速いタイム(2分00秒8)で快勝。改装後の中山・芝2000m戦では、レコード決着となった中山金杯(1月4日/1分57秒8)に次ぐ、好タイムを記録した。

 他にも、500万下のエリカ賞(12月27日/阪神・芝2000m)で2勝目を上げたベルーフ(牡3歳)や、牝馬でも重賞で度々好走しているフローレスダンサー(牝3歳)、ダイワスカーレットの子で新馬戦を快勝したダイワミランダ(牝3歳)など、期待馬は多い。

 何はともあれ、これまでの2歳重賞戦線ではディープ産駒の活躍が際立っているが、クラシックでは他の産駒の台頭も十分にありえる。まして人気馬が期待を裏切り続けている、この世代。人気先行のディープ産駒を絶対視するのは禁物だ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る