【競馬】2015年クラシックの「主役」は、本当にディープ産駒か

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

 実際、朝日杯FSとホープフルSは、ハイレベルなメンバー構成となり、クラシックに直結しそうなレースとなった。ならば当然、それらの勝ち馬こそ、今年のクラシックの"主役"候補と見るべきだろう。

  朝日杯FSを制して2歳王者となったダノンプラチナ。朝日杯FSを制して2歳王者となったダノンプラチナ。 筆頭は、朝日杯FSを1番人気で制したダノンプラチナ(牡3歳。父ディープインパクト)。1600mまでのレースしか使われていないため、距離延長の課題はあるものの、昨年の芝レースにおける2歳の重賞戦で、1番人気で勝ったのはこの馬のみ。人気馬が立て続けに凡走を繰り返している状況にあって、人気を背負いながら勝利を重ねているのは強調材料であり、一歩抜け出した感がある。

 ホープフルSを勝ったシャイニングレイ(牡3歳。父ディープインパクト)も軽くは扱えない。実は、中山競馬場改装後(2014年12月~)の芝レースで、ディープインパクト産駒(以下、ディープ産駒)が勝利したのはこの馬が初めて。その後も、有馬記念のジェンティルドンナしか勝っていないことを考えると、その価値は極めて高く、2戦目で重賞を制したことも含めて器の大きさを感じる。

 他では、新潟2歳Sと東スポ杯で、2着と好走しているアヴニールマルシェ(牡3歳。父ディープインパクト)。牡馬では、重賞で2度連対しているのはこの馬のみで、上位にランクされてしかるべき存在だ。また、祖母が「女傑」エアグルーヴという、ポルトドートウィユ(牡3歳。父ディープインパクト)に対する期待が大きい。本格化途上の中でも安定した結果を残しており、奥行きのある血統からもクラシック向きと見られている。

 こうした面々がクラシックの主役候補に名乗りを挙げる中、一方で「今年の"本当の主役"はまだ重賞戦線に出てきていない」という声もある。

 なかでも、今年の3歳世代の「ディープ産駒の真打ち」とも言われているリアルスティール(牡3歳)の評判が高い。母の父がストームキャットという配合は、一昨年のダービー馬キズナ(牡5歳)や、昨年のエリザベス女王杯を制したラキシス(牝5歳)と同じ。満を持して挑んだ年末のデビュー戦(12月27日/阪神・芝1800m)では、最後の直線で軽く仕掛けただけで後続に3馬身差をつけて快勝し、注目度がますます増している。

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