【競馬】有馬でラストラン。ジャスタウェイが伝説になる

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

有馬記念「フィナーレを彩る」実力馬(2)
ジャスタウェイ編

 12月28日に開催される有馬記念(中山・芝2500m)は、これまでもディープインパクトやオルフェーヴルなど、多くの名馬たちのラストランの舞台となってきた。

世界1位のジャスタウェイ。有馬記念で有終の美を飾れるか。世界1位のジャスタウェイ。有馬記念で有終の美を飾れるか。 そして今年も、「名馬」ジャスタウェイ(牡5歳)が、このレースを最後に引退する。

 ジャスタウェイが一躍脚光を浴びたのは、昨秋の天皇賞・秋(2013年10月27日/東京・芝2000m)だった。現役最強牝馬のジェンティルドンナ(牝5歳、当時4歳)を相手に、4馬身差の圧勝劇を演じたからだ。

 しかし、それ以上に衝撃的だったのは今春、ドバイで行なわれた国際GIドバイデューティフリー(3月29日/ドバイ・芝1800m)でのこと。世界の強豪各馬を蹴散らして、2着になんと6馬身強もの差をつけて大勝したのだ。しかも、従来の勝ち時計を2秒以上も更新するという、驚異的なレコードタイムのおまけつきで。

 これには、世界中が驚かされ、その強さに脱帽した。そしてその結果、翌月にIFHA(国際競馬統括機関連盟)から発表された世界ランキング(ロンジンワールドベストレースホースランキング)で、見事1位にランクづけされた。過去には、ディープインパクトが同様のランキングで1位タイになったことはあったが、日本の馬が単独1位の座につくのは初めてのこと。この快挙によって、ジャスタウェイは名実ともに「名馬」の列に加わった。

 それにしてもこの馬が、これほどの馬になるとは、いったいどれだけの人が想像していただろうか。

 デビューは、2011年夏の新潟だった。芝1600mのレースで、ジャスタウェイは2着に5馬身の差をつけて快勝した。一躍「クラシック候補」ともてはやされて、続く2戦目の新潟2歳S(2011年9月4日/新潟・芝1600m)では、単勝1.7倍という圧倒的な支持を得た。

 もともと、それほど素質を高く評価された馬だったが、その断然人気の新潟2歳Sで2着に敗れると、その後はなかなか思うような結果は残せなかった。5戦目でメンバーに恵まれたアーリントンカップ(2012年2月25日/阪神・芝1600m)で重賞制覇を果たしたものの、それからは成績に波のある競馬を繰り返して、良くても2着止まり。6戦目のNHKマイルC(6着。2012年5月6日/東京・芝1600m)から、翌年秋の毎日王冠(2着。2013年10月6日/東京・芝1800m)まで、10戦も勝ち星から遠ざかっていた。

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