【競馬】朝日杯FS。偉大な兄たちに続くか、アッシュゴールド (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkansports

 7月のデビュー戦では断然の1番人気に支持されながら中団追走のまま6着に敗れてしまい、大きく期待を裏切ってしまったが、レース後の池江調教師の「現状は体が小さくて非力。これから良くなると思う」というコメントからは悲観の色はなかった。

 事実、この日の芝は良馬場発表ながら力を要する状態。426kgと小柄な馬体では、最内の1番枠から終始荒れたインを走らされ、しかも揉まれる競馬では直線までにスタミナを消耗してしまったことが大きかったようだ。もともと、育成時代はもう少し馬格もあったようで、そう考えるとデビュー戦のこの日は、評判馬アッシュゴールドの姿からほど遠かったとも考えられる。

 デビュー戦から3ヵ月後、立て直しが図られたアッシュゴールドは休み明けの未勝利戦(京都、芝1600m)を、後方一気の末脚を炸裂させて快勝する。さらに中2週でGIIデイリー杯2歳ステークス(京都、芝1600m)に駒を進めると、先に抜け出したタガノエスプレッソ(牡、父ブラックタイド/五十嵐忠男厩舎)こそ捉えきれなかったが、ここでも一瞬のキレを見せて2着と、着実に本来の存在感を示し始めた。デビュー戦からこの間に馬体も12kg増えており、一頓挫こそあったものの、ここに来て期待されていた姿に近づいてきた印象だ。今週末も人気の中心となりそうなのも頷(うなず)ける。

 しかし、軌道に乗ったように見えるアッシュゴールドだが、決して不安要素がないわけではない。
 
 ひとつは朝日杯の歴史だ。GI競走となってこれまで30回行なわれたうち、30頭の勝ち馬全てがデビュー戦で掲示板を確保(5着以内)している。つまり、逆を言えば、6着以下に敗れた馬がこのレースを勝ったことは、GIになって以降1度もない。
 
 過去には後の三冠馬となるナリタブライアンが1200mの新馬戦2着となっており、アッシュゴールドの全兄ドリームジャーニーも1400mの新馬戦を勝っている。アッシュゴールドは、確かに馬体が減っていた時期に加え、荒れた内枠、揉まれる競馬と、明らかな敗因があるとはいえ、それでも6着というのは、ここからの成長が加味されるクラシック以降ならまだしも、現状の完成度の高さが要求される2歳GIにおいては、むしろマイナス印象を受ける。

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