【競馬】ブリランテに続く、パカパカファーム「期待の新星」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 そして迎えた4戦目。クラリティスカイは、新設重賞のいちょうSに出走した。レース直前のクラリティスカイは、単勝4番人気。オッズは8.1倍をつけていた。スウィーニィ氏は、このオッズを見て「ビックリした」という。

「前走であれだけ強いレースをしたのに、これは『人気がなさ過ぎる』と思いました。慌てて、東京競馬場にいるウチのスタッフであるケイト(ケイト・ハンター氏。パカパカファームのコミュニケーションマネージャー)に電話して、『単勝を買ってもらいたい』とお願いしました。本当なら、2万円くらい買ってほしかったけど、彼女の財布には7000円しかなかったようです。それで仕方なく、単勝を5000円買ってもらいました(笑)」

 スウィーニィ氏の期待どおり、クラリティスカイは重賞でも素晴らしい走りを披露した。新馬戦を楽勝して挑んできた素質馬たちを問題にせず、1分33秒5の2歳レコードで快勝。それも、先行して抜け出す危なげないレース運びを見せたのだった。

 この勝利によって、陣営は暮れのGI朝日杯FSに参戦することを決定。そしてもちろん、ここでの走り次第では、来年のクラシックに向けて希望が膨らむ。スウィーニィ氏も、「これからもう一段階成長すれば、クラシックでも十分にがんばれると思う」と力を込めた。

 パカパカファームでは、今年も2歳馬が好調だ。11月30日の2歳新馬(東京・芝1600m)でデビュー勝ちを収めたトゥルッリ(牡2歳)や、地方競馬の園田競馬で2戦2勝、それも2戦続けて2着を1秒以上離す大楽勝を収めているインディウム(牡2歳)など、将来が嘱望される若駒が続々と登場している。

 その中でも「エース格」となるクライリティスカイ。ディープブリランテに続いて、クラシック戦線を賑わす存在になれるのか。まずは2歳王者をかけて挑む、朝日杯FSの走りに注目したい。

(つづく)

  ハリー・スウィーニィ

1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
『パカパカファーム』facebook>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る