【競馬】ジャパンカップ、本気度の高い外国馬が侮れない!

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 そのアイルランドダービーでは、昨年の英国ダービー馬で、後にフランスGIニエル賞で、日本ダービー馬キズナと大接戦を演じるルーラーオブザワールドを下しており、続くGIキングジョージ6世&Qエリザベスステークス(アスコット・芝12ハロン)では自身もコースレコードで2着に好走している。その後は4歳秋まで6戦して勝ち星はないものの、常に一線級相手に好走を続けており、単なる早熟馬というわけでもない。

 また、"キングジョージ"でのレコード好走もあるように、いかにも欧州的な重い馬場よりも高速馬場を好むタイプ。

「最後の直線で追い込むことを考えているが、どの馬番になるかでポジションは変わってくるので...」と手綱を取るケヴィン・マニング騎手はレースでの位置取りを示唆しているが、いざとなれば、逃げの手にも出られる先行力もある。しばしば欧州からの参戦馬に見られる、追走に手間取るようなこともなさそうだ。

 ゴドルフィン、ボルジャー調教師ともに世界的に影響力が大きいだけに、ここで好走の事例を作れば、再び海外からのタレントが豊富に集まることも期待できる。モハメド殿下自身は96年にシングスピールでこのレースを制しているが、ゴドルフィンとしては、2回の3着(99年ハイライズ、00年ファンタスティックライト)があり、久々の日本遠征で是が非でも結果を出したいところだろう。

 アイヴァンホウ(牡4)も軽視できない。今年のドイツGIバーデン大賞(バーデンバーデン・芝12ハロン)で、当時の前売り段階で凱旋門賞1番人気だったシーザムーンを破っている。そのレースこそ5番人気だったが、3歳時のドイツダービーでは1番人気に支持された逸材で、4歳になって、いよいよ素質を開花させつつある。

 バーデン大賞では後方のインコースを追走から、直線では大外に持ち出して豪快にシーザムーンを差し切った。凱旋門賞こそ18着に敗れたものの、続くドイツGIバイエルン大賞(ミュンヘン・芝12ハロン)も制しており、9~11月だけでGIを2勝というのがその充実ぶりを物語っている。

 一方で気になるのは日本の高速馬場への対応だ。共同会見でもジャンピエール・カルヴァロ調教師は「軟らかい馬場が得意なので、できれば雨が降って欲しい」と漏らしており、パンパンの良馬場は歓迎していないようだ。凱旋門賞での大敗についても外枠(19番)を引いたことと、水分の少ない今年の馬場も影響があったのではないか、と会見後に述べている。

 しかし、似たケースとして、93年のジャパンカップで4着となった同じくドイツのプラティニも、いきなり大幅にタイムを縮めてみせた。昨年5着のドゥーナデンも、どちらかといえばパワータイプのステイヤーの印象が強かったが、直線であわやと思わせるキレを見せた。今年勝った2つのGIはいずれも力の要る馬場で60キロの斤量を背負ってのもので、整地された馬場で57キロとなることで新たな一面を見せたとしても不思議はない。

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