【競馬】JC、ジェンティルvsハープ「勝つのはどっち?」 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

「まずは、臨戦過程。叩き2走目は5戦5勝というジェンティルドンナは、休み明けで天皇賞・秋(2着。11月2日/東京・芝2000m)を叩いて、理想的なローテーション。片やハープスターは、どんな馬でも不安材料となる"海外帰り"。その差は明らかです。また、実績面でも、ジェンティルドンナは牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)を難なく成し遂げましたが、ハープスターは結局、桜花賞の一冠だけ。さらに、ジェンティルドンナには国内外で積んできたキャリアがあります。大一番では、それがモノを言うはずです」

 加えて、ジェンティルドンナは「鞍上がライアン・ムーア騎手であることが、大きなアドバンテージになる」と、日刊スポーツの木南友輔記者は強調する。

「(ムーア騎手が)現在、世界で一番頼りになるジョッキーであることは、今年の活躍を見れば明らか(世界各国のGIレースで10勝以上挙げている)。オーストラリアのGIメルボルンカップ(芝3200m)では、ドイツのプロテクショニスト(牡5歳)に騎乗して4馬身差の完勝。その手腕を目の当たりにしてきましたから、信頼は増すばかりです。そんなムーア騎手がジェンティルドンナを最短距離でゴールまで走らせるのに対して、ハープスターは追い込み一手。馬群を割れず、これまでどおり外から仕掛けるしかないでしょうから、その展開は厳しいと言わざるを得ないですよね」

 今回は、あくまでもジャパンカップでの対決。そうなれば、臨戦過程や実績、騎手を含めて好材料が並ぶ、ジェンティルドンナに支持が偏るのも頷(うなず)ける。では、純粋に2頭のコンディションが同じだったらどうか。今年、大きな反響を呼んだ『覚えておきたい日本の牝系100』を上梓した、サラブレッド血統センターの平出貴昭氏によれば、血統面から見ても「ジェンティルドンナが優位」だと言う。

「ジェンティルドンナは、母が芝6ハロン(約1200m)の英国GI馬。そのため、字面上はマイル前後が適距離といったイメージがあります。そのうえ、祖母の父や3代母の父は、それほど実績や血統的な魅力のある種牡馬ではありません。そういった点から見ると、これほど輝かしい実績を挙げる馬になったことは意外です。ある意味、血統では分析できない"突然変異"的な存在と言えるでしょう。あえて血統的な要因を挙げるとすれば、リファールのクロス(近親交配)でしょう。このクロスは、同じディープインパクト産駒で言えば、ディープブリランテ(2012年ダービー馬)、トーセンラー(2013年マイルCS馬)とスピルバーグ(2014年天皇賞・秋馬)兄弟などと同じパターン。能力の底上げに成功しています。

 一方、ハープスターは、父ディープインパクト、母の父ファルブラヴがいずれもジャパンカップ勝ち馬と、このレースに縁の深い配合です。ただしファルブラヴは、父としても、母の父としても、産駒の多くはスプリンター。母の父としての芝レースの勝利は、ハープスターの札幌記念(8月24日/札幌・芝2000m)以外は、すべて1600m以下のもの。ハープスターも、本質はマイラーと思いますので、東京の芝2400m戦では厳しいと見ます」

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