【競馬】秋華賞は、人気薄マーブルカテドラルの巻き返しがある (2ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 96年に秋華賞が新設されて以来、昨年までの18頭の勝ち馬のうち、オークス終了までに重賞で2着以上、あるいはオープン特別を勝っていた馬は15頭と全体の83%にのぼる。確かに、99年のブゼンキャンドル(12番人気1着)や00年のティコティコタック(10番人気1着)のようなケースもあるが、細い糸を手繰るように上がり馬の穴馬を探すよりは、春までの実績馬の中からの方が、勝ち馬に行き当たる確率が高いことが過去の傾向から示されている。
 
 また、今年の3歳世代全体についても同様のことが考えられる。ひと夏を越え、本番を見据えてのトライアルでは、ローズステークスをオークス馬のヌーヴォレコルトが快勝し、紫苑ステークス(オープン・新潟・芝2000メートル)は桜花賞で5着だった良血レーヴデトワールが混戦を制した。牡馬路線でも、セントライト記念を皐月賞馬イスラボニータが勝ち、神戸新聞杯はダービー馬ワンアンドオンリーが底力を示した。桜花賞馬ハープスターは札幌記念(GII・札幌・芝2000メートル)でゴールドシップを完封し、凱旋門賞でも勝てこそしなかったが強烈な末脚を見せて猛追し、日本馬最先着を果たした。今年の3歳世代は性別を超えて、春までの実績が、この秋もそのまま当てはまる状況だと見るのが妥当だろう。
 
 衆目の一致する中心は、前述のように前哨戦のローズステークスを快勝したヌーヴォレコルトで異論はない。オークスではハープスターの追い込みをしのいでハープスターの二冠を阻んだ。ハープスターに落鉄のアクシデントがあった影響も考えられるが、仮に落鉄がなかったとしても好勝負に持ち込んでいたはずだ。
 
 ローズステークス後もヌーヴォレコルトは美浦に戻されず、栗東に残って調整された。再度の輸送によるリスクを考えての策で、管理する斎藤誠調教師も木曜日の会見では「前走ローズSのあと、思ったように馬が変わってきました」と笑顔を見せ、滞在策に手応えを感じている。

 これに対抗できる、春までの実績組となると、筆頭は昨年の2歳女王レッドリヴェールで、このほかブエナビスタの妹サングレアル、オークス3着馬のバウンスシャッセなどの名前が順に挙がるが、さらにもう1頭名前を挙げたいのがマーブルカテドラルだ。2歳時には新設重賞のアルテミスステークス(当時グレードなし・東京・芝1600メートル)を制し、その後もGI戦線に常に出走して、着順こそよくないものの、差のない成績を残している。
 
 マーブルカテドラルを推すデイリースポーツの豊島俊介記者は、潜在能力に期待をかける。

「騎乗する田辺(裕信)騎手が、この馬のデビュー時から素質を高く評価しています。ただ、折り合いに難のある馬で、それで力が完全に発揮できなかったと見ているようです。オークス後も札幌でクイーンステークス(GIII・札幌・芝1800メートル)に出走して、9着と結果は奮いませんでしたが、出来がイマイチだったオークスで6着だったのですから、能力差はなく、うまくさばければ十分に勝ち負けできます」

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