【競馬】極上の能力秘めるアドマイヤグルーヴの忘れ形見 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 母から譲り受けたのは、ヤンチャな気性だけではなかった。8月末、入厩直前の調教でのことだった。林氏は、母を思い起こさせるような「切れ味」をドゥラメンテから感じたという。

「ノーザンファームの坂路で追い切ったとき、600mを39秒台、最後の200mは12秒台で上がってきました。そういう2歳馬はなかなかいません。また、3歳馬のトーセンスターダム(牡/GIIIきさらぎ賞優勝馬)と一緒に走らせてみたのですが、最後まで横に食らいついていたんです。これには能力の一端を感じました」

 坂路で計測した好タイム、そして重賞勝ち馬についていった走力。林氏はともに「最初はたまたまかと思った」というが、「翌週も同じことができたので驚いた」と振り返る。

「能力は高そうですから、課題となるのは気性面との兼ね合いだけ。直前の調教や、レース前のパドックでテンションが上がらないことを願っています。育成の調教では、折り合い面も問題ありませんでしたが、レースは別物ですから。うまく折り合ってくれれば、と思いますね」

 アドマイヤグルーヴの産駒は、これまで重賞勝ちこそないものの、どの馬も高い能力を見せてきた。特に2番仔のアドマイヤセプター(牝/父キングカメハメハ)は、短距離の重賞で2着や3着に入線。同馬が新馬戦を圧勝したときは、「桜花賞を意識した」と林氏も当時を思い出す。

 そのアドマイヤセプターも、折り合い面で苦しんだ。ゆえに、ドゥラメンテにも同様の不安がつきまとうが、反面"気性の強さ"が闘争心につながれば、展望は大きく広がるはずだ。まずは、10月12日のデビュー戦を注視したい。

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