【競馬】いよいよ凱旋門賞! 日本馬3頭が「順調」な理由 (3ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu

 3頭それぞれに順調さが伝えられているが、ジャスタウェイ以外の2頭にとっては初めての海外遠征であるし、両厩舎にとっても内厩制ではないフランス遠征は初めてのこと。それだけに、敢えて強調されないまでも修正可能な細かいトラブルはそれなりにあるはずだと推測できる。表向きになったところでは、航空会社のストの影響による輸送プランの変更(当初、パリまで直行で空輸する予定が、アムステルダムまで空輸でそこから馬運車での陸送となった)などだが、少なからずあったはずのこれらの影響も正しくケアしたことが現在の順調さへと繋がっているのではないだろうか。

 これらを支えているのが、それぞれの厩舎のこれまでの海外遠征の経験とともに、これまでに凱旋門賞に挑んだ先人たちの経験の積み重ねであろう。エルコンドルパサー、デイープインパクト、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルのような惜敗はもちろん、その他も含めて13頭の挑戦は、結果とは別に日本競馬にとって経験という共有財産を蓄えることとなった。蓄積された経験を持つことは、それだけで心のゆとりにつながる。ゆとりある対応ができれば、「順調」という表現に至るのはごく自然な流れだろう。

 奇しくも、松田厩舎は07年にアドマイヤムーンで、須貝厩舎は今年ジャスタウェイで、ともにドバイでGIドバイデューティーフリーを制しており、海外での勝ち方は熟知している。そこへ日本競馬が蓄えたフランスでの戦い方がエッセンスとして加われば、自ずと待望の瞬間へと近づくと思うのは、過度な期待ではないはずだ。

 第93回凱旋門賞は、日本時間10月5日(日)23時30分発走予定。

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