【競馬】ディープブリランテは種牡馬でも成功できるか (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 写真提供:パカパカファーム

 ディープブリランテの繋養先となったのは、社台スタリオンステーション。同馬の父であるディープインパクトや、2011年の三冠馬オルフェーヴルなど、日本の競馬界を担う種牡馬たちが集まる場所である。ディープブリランテも、その地で種牡馬生活をスタートさせることとなった。

 スウィーニィ氏は、種牡馬としてのディープブリランテにも大きな期待を膨らませていた。

「ブリランテの持っている豊かなスピードや雄大な馬体、走ることに前向きな気性は、種牡馬としてとても大切なもの。また、現役時代は短い距離のレースに出てほしいと思いましたが、それは気性面が理由。スタミナ自体は豊富にあります。何より、ダービーを勝っているんですからね。種牡馬としても十分に活躍できると思っています」

 そして2013年の春、ディープブリランテの種付けがスタートした。種付け料は、120万円。スウィーニィ氏は「ブリランテの種付け料はもっと高くてもいいと思いますよ」と、その評価の低さに苦笑いを浮かべた(※)。ただこれは、同じくサンデーサイレンスの血を持つ種牡馬が多数いることや、父ディープインパクトがまだ種牡馬として最盛期にあるからだろう。

※ディープインパクトの種付け料1500万円は別格だが、人気種牡馬の種付け料はおおよそ200~700万円。なお、近年種牡馬になった主な馬の初年度の種付け料は以下のとおり。オルフェーヴル=600万円、ルーラーシップ=250万円、エイシンフラッシュ=150万円。

 種付け料は比較的安価だったが、その分、種牡馬ディープブリランテの人気は上々だった。初年度から205頭もの種付けを行なった(ちなみに、トップはディープインパクトの262頭。以下、クロフネの216頭、ダイワメジャーの209頭、ルーラーシップの208頭)。

 それから1年後、2014年1月9日に初仔が誕生。社台コーポレーション白老ファームが管理するラフアップの仔だった。その後、春の出産シーズンを終えるまでに、続々とディープブリランテの仔が各牧場で産声を上げていった。

 パカパカファームでも、繁殖牝馬のタイキメビウスがディープブリランテと配合。今春、その子どもが無事に誕生した。生まれたのは4月30日で、牧場の中で最後の出産という遅生まれながら、体つきのよさが際立っていた。ゆえに、父と同じように、生後わずか2カ月半後のセレクトセールに出されることとなった。

 すぐさまカタログ用の写真撮影も行なった。パカパカファームのあるスタッフが、そのときの仔馬の姿を思い出してこう語った。

「生後日数が経っていないのに、立派に立つところは父(ディープブリランテ)そっくりでした」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る