【競馬】兄以上の大物か。凱旋門賞2着馬の弟、出陣 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 そんな兄に続いて、GIの舞台を目指すフェスタジュニーナ。生産・育成を行なった社台ファームでは、スタッフ間の評判もよく、兄と同様に、早くから内に秘めた才能を垣間見せている。社台ファームの青田力也氏が、その印象を語る。

「ステイゴールド産駒というとシャープな動きを想像しがちですが、この馬はとにかくパワフルで力がありますね。馬体もそれなりにあって、入厩前には馬体重は500㎏近くになりました。と言っても、ダートに向くタイプではなく、パワフルさが生かされるのも芝でこそ、と思っています」

 460㎏ほどと決して大きな馬体ではなかった兄ナカヤマフェスタに比べると、体格はかなり恵まれているようだ。

 また、兄ナカヤマフェスタは、気性の難しい馬だったことでも知られている。気が乗らないと立ち止まって、調教コースに入らなくなったり、レース前にゲート入りを嫌がったりすることが多々あった。その「性格」に、スタッフはかなり手を焼いていたという。早くから強さを見せながらも、4歳までGIに手が届かなかったのは、この気性難による影響が大きかったのかもしれない。

 しかしフェスタジュニーナは、「社台ファームでは、特に気になるところはなかったですね。気が荒いというより、2歳の男の子らしいハツラツさがあるという感じでした」と青田氏。気性面においては、兄ほどの心配はなさそうだ。

 それを証明するように、6月下旬に美浦トレーニングセンター(茨城県)に移動したあと、7月10日には兄が苦手としたゲート試験を順調にクリアした。その後、足元に不安が出たものの、今では良化し、問題なく調教を消化。8月6日には、ウッドチップコース1000mを66秒3、最後の200mを馬なりで流しながら12秒4という好タイムで駆け抜けた。

 フェスタジュニーナのデビュー予定は、8月31日(日)の2歳新馬(新潟・芝1600m)。兄とともに凱旋門賞に挑んだ蛯名正義騎手が手綱をとる見込み。初戦から大いに期待が持てる。

 若い頃から素質を見せながらも、気性難もあって、タイトル獲得までに時間を要した兄ナカヤマフェスタ。対して、落ち着きを兼ね備えた弟フェスタジュニーナはどんな戦績を残すのか。初戦の結果次第では、3歳クラシック戦線に夢が膨らむ。

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