【競馬】偉大なるベガの血を受け継ぐ「世界的」注目馬 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 そして2011年春、アドマイヤドンがワールドリープレジャーと種付けを行なっていた時期に、古馬となったゲームオンデュードがGIを勝って台頭。その母であるワールドリープレジャーは一躍世界で注目を集める存在となって、同年秋にアドマイヤドンの子をお腹に宿した同馬を社台コーポレーション白老ファームが購入した。

 こうして2012年3月、日本で生まれたのが、ワールドリースターだった。

 同馬の育成を担当したノーザンファーム早来の林宏樹氏は、その姿に「父アドマイヤドンの面影を見た」と語る。

「私は父の育成も担当していたのですが、足元の白い模様などは、父によく似ていますよね。祖母のベガも同じ特徴を持っており、いかにもその血が濃く出ていそうな印象です。ベガの血を持つ馬は少なくなってきましたが、この馬がその血をつなぐ存在になってくれるといいですね」

 ベガは、アドマイヤドンの他に、1999年の日本ダービー馬アドマイヤベガ(父サンデーサイレンス)や、今年の桜花賞を制したハープスターの母ヒストリックスター(父ファルブラヴ)など、5頭の産駒を遺した。しかし、最大の後継者と期待されたアドマイヤベガは、2004年に8歳の若さで急逝。種牡馬として、ベガの血を継承することは満足にできなかった。

 そうした状況にあって、ベガの血をつなぐ新たな後継者として、この特異な血統背景を持つワールドリースターへの期待が高まっている。

 クラシックを占うという意味では、父アドマイヤドンの実績がほとんどダートに集中している点が不安視されているが、アドマイヤドンは2歳時に芝のGI朝日杯フューチュリティS(中山・芝1600m)を快勝。前述のアドマイヤベガをはじめ、他の兄弟たちの芝での活躍を考えれば、それほど心配することはない。林氏も「ダートより、むしろ芝での活躍に期待したい」と言う。

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