【競馬】宝塚記念に乗り替わりで挑む「3強」の明暗 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 加えて、このコンビにはプラス材料がある。岩田騎手はかつて、ジェンティルドンナとゴールドシップの手綱をとった経験があるからだ。つまり、岩田騎手はライバル2頭のクセを知っている。となれば、3強による駆け引きにおいても、一歩リードすることになる。

 関西競馬専門紙のトラックマンは、決戦に挑むウインバリアシオンの状態をこう語る。

「天皇賞・春のあとは、多少疲れも出たようですが、今ではその疲れもとれて、宝塚記念への参戦を決めたようです。実際に調教でも、いい状態を維持していますしね。レースでは、折り合いに不安がなく、騎手にとって難しさのない馬。ライバル2頭に比べて、乗りやすく、マイナス要素はないですね」

 ウインバリアシオンの乗り替わりは、むしろプラスと捉えてもいいだろう。

 続いては、前走で国際GIドバイシーマクラシック(3月29日/UAE・芝2410m)を勝利し、ここに挑むジェンティルドンナ。同馬は、ムーア騎手から川田将雅騎手に乗り替わりとなるが、川田騎手は2年前のGIオークス(2012年5月20日/東京・芝2400m)でジェンティルドンナに騎乗。レースでは2着に5馬身の差をつける圧勝劇を演じた。コンビを組むのはそれ以来となるが、一度乗っている分、まったくの「未知数」ではない。

 とはいえ、この2年の間にジェンティルドンナの性格は少し変わった。休み明けのレースになるとテンションが上がり、道中行きたがる面を見せるようになったのだ。今回は3カ月ぶりのレースで、まさにその「休み明け」。2年前に川田騎手が乗ったジェンティルドンナとは、かなり異なる素振りを見せる可能性がある。そういう意味では、「一度騎乗しているから安心」とは言い切れない。

 前述のトラックマンも、ジェンティルドンナの気性面を課題に挙げた。

「陣営も、テンションにはかなり気を使っているようで、不安材料であることは確かです。また、ジェンティルドンナ自身が左回りの軽い芝を得意とする馬なので、右回りで力のいる阪神競馬場はベストな条件ではありません。その中で、休み明けの同馬をうまく折り合わせられなければ、致命的。川田騎手にとっては、簡単な乗り替わりではないと思います」

 乗り慣れていれば、折り合いをつける工夫も考えられるが、おそらく川田騎手もそこは手探り。こちらの乗り替わりには、少し不安が見えそうだ。

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