【競馬】イスラボニータ・ショックで新馬戦に異変あり

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 こうなると、クラシックで活躍するためには、より早くデビューすることがひとつの"トレンド"になったのではないかとさえ思えてくる。少なくとも「早めにデビューして、早々に結果を出そう」という戦略が、クラシックへの新たな道筋となったことは間違いない。早くも「伝説の......」と噂される新馬戦が行なわれるのも、そうした流れに沿ったものだろう。

名門・藤沢和雄厩舎が管理する「大物」アヴニールマルシェ(牡2歳)。名門・藤沢和雄厩舎が管理する「大物」アヴニールマルシェ(牡2歳)。 さて、その"噂の新馬戦"。中心となるのは、今年も種牡馬リーディングのトップ(6月12日現在。以下同)を走るディープインパクト産駒の、アヴニールマルシェ(牡2歳)。母ヴィートマルシェの母が名牝キョウエイマーチ(1997年桜花賞馬)という良血だ。しかも管理するのは、現在関東の調教師リーディングトップの藤沢和雄厩舎。同氏が「馬体、動き、性格、どれをとっても文句なし」とほれ込むほどの逸材だ。

 生産牧場は、日本競馬界をリードし、毎年多くの活躍馬を輩出しているノーザンファーム。その同期の中でも、アヴニールマルシェは育成段階から目立った存在だった。そんな馬だからこそ、藤沢氏もいまだ勝ったことのないダービー制覇を「今度こそ、この馬で」と、目論んでいるという。

 これに続くのは、ベルラップ(牡2歳)。レーティング(競走馬の能力を示す指数)世界一のジャスタウェイ(牡5歳)を管理し、今最も勢いのある須貝尚介厩舎が送り込む、評判馬だ。同馬も、ジャスタウェイと同じハーツクライ産駒で、近親には1995年安田記念を勝ったハートレイクがいる。関西の競馬専門紙トラックマンも、そんなベルラップの走りには、注目しているという。

「須貝調教師は、『(ベルラップは)ジャスタウェイに雰囲気が似ている』と言っています。まだ腰に甘さがあるようですが、それでも動きは水準以上。ここで勝ち負けするようなら、先々が楽しみになりますね」

 鞍上は、ワンアンドオンリー(牡3歳)で今年のダービーを制した横山典弘騎手。思えば、ワンアンドオンリーもハーツクライ産駒。ベルラップへの期待は高まるばかりだ。

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