【競馬】厳選「4頭」。ダービーで穴をあけるのはこの馬だ

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●写真 photo by Murata Toshiyuki

 軽視できない伏兵馬は、他にもいる。プリンシバルS(5月10日/東京・芝2000m)を勝ったベルキャニオン(牡3歳)だ。父はディープインパクトで、全兄には重賞勝ち馬のカミノタサハラがいる良血。4走前の共同通信杯では、皐月賞馬イスラボニータにコンマ2秒差の2着と好走している。

 能力的にはトップレベルにあることは間違いないが、この馬も前出のワールドインパクトと同様、競走馬としては完成手前。そのため、条件が整わないと力を発揮し切れないという弱点を抱えていた。いい例が、中山での2戦。2番人気に支持されたスプリングS(3月23日/中山・芝1800m)では6着と人気を裏切り、続く皐月賞でも7着に沈んだ。関東の専門紙記者が語る。

「ベルキャニオンは、口向きが悪くて、左へ左へと、もたれながら走る癖がある。だから、中山のような右回りでは、勝負所のペースアップに対応できないし、コースロスも大きい。スプリングSと皐月賞で大きく負けたのはそのためです」

 だが、3戦未勝利の中山に対して、ダービーの舞台となる東京では、4戦2勝、2着2回とパーフェクト連対。先の専門紙記者も、その点を強調してダービーでの巻き返しは十分にあるという。

「右回りと違って、(ベルキャニオンは)左回りの走りが本当にいいですからね。陣営も、中山での2戦を振り返って『あそこで強い相手と戦った経験がダービーで生きる』と前向きにとらえていました。ダービーでは面白い存在になると思いますよ」

 こちらも、手綱をとるのは全国リーディングトップの戸崎圭太騎手(59勝。5月29日現在)。とても軽くは扱えない。

 最後にもう一頭、忘れてはならいのが、レッドリヴェール(牝3歳)だ。

 オークスでは苦杯をなめたものの、牡馬、牝馬を含めて「世代ナンバー1」の呼び声が高いハープスター(牝3歳)と、勝ち負けを演じてきた実力の持ち主。ダービー挑戦はずいぶん前から想定していて、陣営が「勝算あり」と見込んでの出走だという。

「桜花賞(2着。4月13日/阪神・芝1600m)から、たっぷりと間隔をあけたことで、状態面はかなり上積みがあると聞いています。『伏兵』というより、『主役』級と見ていいのではないでしょうか」

 そう関西の専門紙記者も高く評価するレッドリヴェール。2007年のウオッカ以来、7ぶりの牝馬のダービー制覇があってもおかしくない。

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