【競馬】厳選「4頭」。ダービーで穴をあけるのはこの馬だ

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●写真 photo by Murata Toshiyuki

日本ダービー特集(4)
伏兵馬編

 有力馬が集う今年のダービー(6月1日/東京・芝2400m)は、伏兵陣も粒ぞろいだ。実績では皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)上位組に一歩譲っても、素質は互角か、それ以上。状態面のよさや上昇度、レースの流れ次第では「番狂わせも可能」と思わせる馬が五指に余るほどいる。

 その筆頭は、昨年のダービー馬キズナと同じステップで挑む、ハギノハイブリッド(牡3歳)。この3月までは1勝馬で、皐月賞に出る権利さえなかった馬だった。しかし4月末の500万特別(4月26日/東京・芝2300m)を圧勝すると、中1週で臨んだ京都新聞杯(5月10日/京都・芝2200m)も見事な末脚を見せて快勝。一躍、ダービー候補の一頭に数えられるまでになった。

 確かに2月の共同通信杯(2月24日/東京・芝1800m)では、勝ったイスラボニータ(牡3歳)から5馬身も離されて6着に敗れたが、当時は未勝利を勝ち上がったばかりの身。ここに来ての、目を見張るような上昇度を考えれば、その差はかなり縮まっているはすだ。

 前々走から前走まで中1週で、そこから中2週でダービーというハードなローテーションも不安視されているが、ハギノハイブリッドの父タニノギムレットは皐月賞(3着)から中2週でNHKマイルC(3着)に臨み、さらに中2週で挑んだダービーを勝利。およそ1カ月でGI3連戦という強行軍をこなした父の血を受け継いでいることを考えれば、決してマイナス要素になるとは思えない。

 まして、元来タフで強い馬は、使い込めば使い込むほどよくなるもの。それこそ、父タニノギムレットを通して流れる、ブライアンズタイム系血統の最大の長所だ。

 さらに、強調すべきは、ハギノハイブリッドを管理するのが、「マツクニさん」の愛称で知られる、松田国英調教師であることだ。関西の競馬専門紙記者が言う。

「マツクニさんは、ハギノハイブリッドの父タニノギムレット(2002年)と、キングカメハメハ(2004年)でダービーを2勝していますが、ダービーを勝つことを自分の使命にしている。言うなれば『ダービー命』というような人で、ダービー馬を育てることに関しては、独自のノウハウがあると聞いています。ハギノハイブリッドのここ2戦の急上昇ぶりは、まさに"マツクニ・マジック"。本番でも侮れませんよ」

 鞍上には、名手・ウィリアムズ騎手を確保。一発ムードは高まるばかりだ。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る