【競馬】イスラボニータ、鞍上・蛯名正義が語る「ダービー熱」 (4ページ目)

  • 新山藍朗●構成 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●写真 photo by Murata Toshiyuki

――蛯名さんにとって、ダービーは今度で22回目の挑戦になります。これまでの中で、印象に残っているのは、いつのダービーですか。

「着差がほんのちょっと(ハナ差)だったから、みんな、フェノーメノ(2着。2012年)の印象が強いみたいだけど、僕個人はむしろ、ハイアーゲーム(3着。2004年)で挑んだダービーが印象深い。(大本命の)キングカメハメハ相手に勝負にいったからね。ダービーでは、(勝負にいくのは)初めてのことだった。まあ、それで見事に弾き返されたんだけど(笑)。もし(キングカメハメハを)負かしにいかなければ2着はあったかもしれないけど、『やれるかもしれない』という気持ちで勝負にいって、あの結果だった。その分、後悔はしていません。フェノーメノも悔しかったけど、初めて“挑んだ”という意味では、ハイアーゲームで臨んだダービーは忘れられないね」

――蛯名さんにとって、ダービーとはどういうレースですか。

「原点、だね。常にダービーを目標に1年間頑張ってきて、でも『今年もまた残念だったね』ということになって……。それでも『来年、また頑張ろう』って、そういう感じで20何年間、(騎手を)やってきたからね。ダービーは、自分が騎手をやり続けるための“核”になるもの。だから、原点。それと、昔も今も“勝ちたい”レースだね(笑)。ただ、勝ちたい気持ちは変わらないけど、その思いの炎の色は変わってきているかもしれない。今は、昔みたいに真っ赤じゃないから。ちょっと青みがかった色というか、そんな感じがする」

――今年は初のダービー制覇へ、最大のチャンスが到来しています。ズバリ、勝算はありますか。

「こればっかりは、やってみなければわかりません。皐月賞のときも思ったけれど、勝つためには運も必要。大きな勝負になればなるほど、それが大事になってくる。イスラボニータは必ずいい競馬をしてくれると思うけど、そこに運がついてくるかどうか。勝てる、とは言わないけど、勝ちたいね」

――ありがとうございます。ご健闘をお祈りしています。

蛯名正義(えびな・まさよし)

1969年3月19日生まれ。北海道出身。1987年にデビューし、2001年に全国リーディングを獲得。関東を代表するジョッキー。今年は現在(5月26日現在)38勝(全国リーディング8位)。JRA通算2235勝。重賞113勝(うちGI21勝。2010年にはアパパネで牝馬三冠を達成)

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