【競馬】「オークス向き」の馬とは、どんなタイプか (2ページ目)

  • text by Sportiva

――オークスとなれば、昔も歓声がすごかったと思います。そうした雰囲気の中で、馬を落ち着かせるのは大変だったのではないですか。

嶋田 確かにダービーやオークスとなれば、(競馬場の)スタンドの歓声はものすごかったからね。昔は大きなレースが少なかったから、スタート前の盛り上がりなんて、今以上だったんじゃないかな。だから、返し馬のときには、入れ込みやすい馬なんかは、できるだけスタンドから遠いところを通るようにしていたよ。

――いざ、レースがスタートする直前はどんなことを考えていましたか。他の馬の出方を予想しながら、いろんな作戦が頭の中を駆け巡っていたりしたのでしょうか。

嶋田 自分は、レースの前に「ああ乗ろう」とか「こう乗ろう」といったことはあまり考えなかった。常に白紙の状態。さっきも言ったけど、ゲートを出た瞬間、馬と呼吸を合わせて、人馬一体となってスムーズに流れに乗っていくことだけを意識していた。

――そんな嶋田さんから見て、今、乗れているジョッキーと言えば、誰になるのでしょう。

嶋田 それなら、田辺裕信騎手(30歳)だろうね。レースの流れがよく読めているし、「こう乗ろう」と頭の中でいろいろと考えるよりも、馬の動きに体が自然とついていっている。まさに馬の気持ちに合わせて乗れていて、彼の騎乗は見ていて気持ちがいいね。

――田辺騎手は今年、フェブラリーS(2月23日/東京・ダート1600m)でコパノリッキーに騎乗して、自身初のGI勝利を収めました。今や関東を代表する騎手のひとりですね。ところで、桜花賞とは距離も違うし、レースの質も異なるというオークス。その分、桜花賞では下位に沈んでも、オークスで浮上する馬というのが、これまでもたくさんいました。それはズバリ、どんなタイプなのでしょうか。

嶋田 それは、体形であったり、血統であったり、競走馬の適性によるところが大きいと思う。また、デビューしてレースを使っていくうちに、桜花賞よりもオークス向きだな、というのが何となくわかってくる。この馬には「1600mのレースは忙しい」とか「長い距離でも息が持ちそう」とかね。そういう意味では、ファンの方々がこの馬は短距離向きなのか、長距離向きなのか、というのを見極めるのはなかなか難しいかもしれない。

 例えば、テンモン(1981年オークス優勝)は、デビューしてから短い距離を中心に走ってきて、1600m戦でも牡馬相手に重賞を勝ったりしていたけど、その過程でオークス向きだな、というのを感じた。1600m戦は忙しいだろうな、と。実際、2着と好走した桜花賞でも、テンモン自身、結構苦しがっていた。あれは、あくまでも馬の能力の高さだけで出せた結果。そんな桜花賞に比べて、オークスは本当に楽な競馬だった。着差(2馬身半差)以上の楽勝だったと思うよ。

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