【競馬】実は「ダービー断念」を進言していたブリランテの生産者 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • JRA●写真

 多くのファンが、アウトコースを回る有力馬を見ていた最終コーナー。その中で1頭だけ、誰もいないインコースを猛然と追い上げる馬がいた。4番人気のゴールドシップだ。

2012年の皐月賞は内をすくったゴールドシップ(写真右)が勝利した。2012年の皐月賞は内をすくったゴールドシップ(写真右)が勝利した。 前半は最後方にいたゴールドシップだが、3コーナーで内に潜り込むと一気にスパート。荒れた馬場をもろともせず、距離ロスのないインコースを通って、一気に内から抜け出した。伊藤氏も、この展開には驚いたという。

「レースではずっと外のブリランテを見ていました。ワールドエースが大外から迫ってきたので、『何とかがんばってくれ』と。そしたらいつの間にか、最内からゴールドシップが先頭に立っていて......。『どこから来たんだろう』という印象でしたね」

 結局、インコースを一気に抜けたゴールドシップがそのまま1着。対照的に大外を追い上げたワールドエースが2着だった。ディープブリランテは直線で先頭争いを演じるも、最後にワールドエースに交わされて3着。残念な敗戦ではあったが、伊藤氏は「やり切った」という思いのほうが強かったという。

「ディープブリランテはまたもかかってしまいましたが、それでも力は出し切れたと思いました。後方待機の2頭が1、2着を占める中、先行しながら3着に粘るのは、馬自身の能力がないとできないことですから。スタッフみんなも、レース直後こそ落ち込んでいましたが、『(ディープブリランテは)よくがんばったよね』と口々に言っていました」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る