【競馬】フローラS、「大物感」漂うイサベルが突き抜ける!

 にもかかわらず、桜花賞には目もくれませんでした。天皇賞や有馬記念などの古馬GIと違って、クラシック競走というのは、競走馬にとって一生に一度しか出られない舞台。ゆえに、出走できる権利があれば、大抵出走します。重賞で勝ち負けできる力を持った馬ならなおさらです。それでも、あえてスルーしたということは、何かしら理由があってのこと。マイネグレヴィルの場合は、マイル戦のような忙しい競馬よりも、距離が延びてこそいいタイプと、陣営が思っていることもあるでしょうね。

 ここでの勝負気配はマジックタイムほど感じませんが、本番のオークスへ向けては、気にかけておきたい一頭です。

 この2頭以外で面白いのは、ハピネスダンサー(牝3歳)。前につけられて、いい内容のレースができるうえ、堅実な結果を残しています(5戦2勝、2着1回、3着2回)。東京開催は約2カ月ぶりで、馬場状態は相当いいと思われます。そうなると、前目で競馬ができる馬には有利ですし、好位から脚を使えるこの馬にとっては、好条件です。馬券圏内の結果が見込まれます。

デビュー戦では既走馬相手に圧巻のレースを見せたイサベル。デビュー戦では既走馬相手に圧巻のレースを見せたイサベル。 さて、このレースの「ヒモ穴馬」には、見事抽選をクリアした1勝馬のイサベル(牝3歳)を取り上げたいと思います。

 キャリアはまだ1戦。未勝利戦(3月16日/阪神・芝1800m)を勝ち上がったばかりです。もちろん初の重賞挑戦で、しかも今回は東京競馬場までの長距離輸送があります。条件的にはかなり厳しいのですが、管理するのは、昨年のこのレースを勝ったデニムアンドルビー(牝4歳。その後、オークスで3着。秋にはジャパンCで2着)と同じ角居勝彦厩舎。レースへの対応はよくわかっていると思いますし、イサベルにはデニムアンドルビーと同様の大物感を感じます。

 未勝利戦が初出走だったイサベル。通常、既走馬とは時計ふたつ(約2秒)の差があると言われています。そのうえ、1回もレースを使っていないということは、初めてのことばかりで、物見をしたり、入れ込んだりするかもしれないと、不安要素がいっぱいあります。その分、気を使うことが多く、それもまた相当なビハインドになります。

 ところが、イサベルは、そうした不安を一掃。3、4コーナーから仕掛けられると、一気に順位を上げて、直線に入ってからも強烈な伸び脚を見せて圧勝しました。牝馬限定戦でレベルは低かったものの、圧巻の内容で、勝ち時計(1分48秒5)もデビュー戦としては優秀でした。この次点で、陣営はオークスを意識したと思います。

 鞍上は、浜中俊騎手。普通、リーディングのトップを争うジョッキーが、抽選で除外される可能性のある馬のために遠征することは滅多にありません。余程、この馬に可能性を感じているのでしょう。どんな競馬を見せてくれるのか、本当に楽しみです。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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