【競馬】戦国模様の皐月賞。「唯一のGI馬」に旨味あり (2ページ目)

 さらに、若葉S(3月22日/阪神・芝2000m)の勝ち馬アドマイヤデウス(牡3歳)も可能性のある一頭。若葉Sはもちろん、前々走のあすなろ賞(1着。2月22日/小倉・芝2000m)でも、そのレースぶりには目を見張るものがありました。仕掛けてからの反応が速いわけではありませんが、スピードに乗り出してからの走りは迫力満点。どこまでも伸びていきそうな雰囲気があります。

 若葉Sで2着に退けたウインフルブルーム(牡3歳)は、GI朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS。2013年12月15日/中山・芝1600m)3着馬で、シンザン記念(1月12日/京都・芝1600m)では5戦4勝の快速馬ミッキーアイル(牡3歳)に半馬身差まで迫っています。同馬を物差しにすれば、上位馬との差もないでしょう。また、初の関東圏での競馬も、長距離輸送は小倉で経験済み。問題はありません。

 そういえば、アドマイヤデウスの父アドマイヤドンは今をときめくベガ(ハープスターの祖母)の仔。GIシーズンにおいては、ひとつのテーマに関連した馬たちが続けて結果を出すことがよくあります。こうしたつながりがあることは、見逃せないデータになるかもしれませんね。

2歳王者のアジアエクスプレス。軽視は禁物だ。2歳王者のアジアエクスプレス。軽視は禁物だ。 さて、今回の「ヒモ穴馬」には、朝日杯FSを制した唯一のGIウイナー、アジアエクスプレス(牡3歳)を取り上げたいと思います。

 デビューから2戦はダートで連勝。そのため、「ダート馬」という印象を持つ方もいるかと思いますが、能力の高い馬だからこそ、ダートもこなしているという見方もできます。要するに、本質的には芝向きの可能性もあるわけですが、前走のスプリングSでは個人的にも半信半疑で見ていました。すると、朝日杯FSに続いて、素晴らしい末脚を見せてくれました。2着という好結果を出したことからも、ひとつの結論は出た、と言えるのではないでしょうか。そう、芝でも十分に戦えるということです。

 鞍上を務めたのは、初騎乗の戸崎圭太騎手でした。調教では何度も乗って感触をつかんでいても、実際のレースではまた違います。ゆえに、レースの前半は恐る恐るというか、様子を見ながら騎乗しているように見えました。しかし当のアジアエクスプレスは、好位できっちり折り合って、道中の走りもいたってスムーズでした。3、4コーナーでは、3カ月ぶりのレースということもあってか、一瞬反応が悪いように見えましたが、直線に入ってからの伸びは圧巻でした。朝日杯FSのときと同じ豪脚でしたね。

 今回は、戸崎騎手も2度目の騎乗になります。今度は思い切って、勝ちにいく競馬ができると思います。前走の2着敗戦で、予想以上に人気を落としそうですから、馬券的にもかなり面白い存在になるのではないでしょうか。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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