【競馬】無傷で挑む皐月賞。トーセンスターダムに託された「夢」 (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • JRA●写真

 夏の間は、エスティファームの近くに島川氏が宿泊し、生産馬の様子をチェック。そのうえで、他の牧場にも顔を出して、いい馬がいないか探しているという。また、エスティファームの他に、千葉県香取市には、現役の競走馬やデビュー前の馬がトレーニングを行なえるエスティホースパークを開設。島川氏の“馬好き”はとどまることを知らない。

 それほど競馬に熱中する島川氏だが、これまではなかなかクラシックのタイトルを手に入れることができなかった。しかし今年、その栄冠にもっとも近づいている。きっと島川氏の胸中には、期するものがあるはずだ。

 田邊氏も同様で、トーセンスターダムはエスティファームの生産馬ではないものの、同馬への思い入れは相当に強い。

「普段オーナーが馬を買うときは、基本的に私たちと見ながら選んでいきます。トーセンスターダムも、セレクトセールの前の下見のときからオーナーと一緒にチェックしていた馬でした。私もその頃から素質を感じていましたし、一緒に見た馬ですから、生産馬と同じように愛着があります」

 島川氏の所有馬では、2012年にトーセンホマレボシが日本ダービーで3着に入線している。同馬は“穴馬”の存在ながら健闘したが、今年はトーセンスターダムが世代の“主役”として皐月賞、日本ダービーのクラシック戦線に乗り込む。

「ホマレボシのときも期待していましたが、やはりクラシックはいろいろなものが噛み合わないと獲れないタイトル。もちろん、いつか牧場の生産馬であの舞台に行ければ理想的ですが、そう簡単なものではありません。ですから、なんとかスターダムにはがんばってもらいたいと思っています」(田邊氏)

 競走馬に関わるすべての人々が憧れる3歳クラシックのタイトル。無傷の3連勝で歩んできた島川氏の愛馬は、そのタイトルをつかむことができるだろうか。オーナーやエスティファームの人々の期待を乗せて、トーセンスターダムがクラシックの舞台を駆ける。

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