【競馬】皐月賞目前。安藤勝己が選定する「3歳牡馬番付」

  • 新山藍朗●構成 text by Niiyama Airo

前頭1枚目:アドマイヤデウス(牡3歳)
(父アドマイヤドン/戦績:6戦3勝、2着1回、3着2回)

 番付上位の馬と比べると、正直、能力的には一枚落ちる感があるのは否めない。それでも、前走の若葉Sを見る限り、ここに来て、馬がちょっと変わってきたような気がする。走りっぷりがよくなった。道中も折り合って、追ってからもしっかりと伸びていた。

 自分が現役時代、父親のアドマイヤドンに乗っていたのもあって応援したい気持ちもある。今の中山のような、ちょっと時計がかかる馬場も合いそう。皐月賞の、穴馬の一頭として挙げておきたい。


前頭2枚目:バンドワゴン(牡3歳)
(父ホワイトマズル/戦績:3戦2勝、2着1回)

 他の有力馬と違って“逃げる”という戦法があるのが強み。ホワイトマズルの子には、人気が落ちたときに気持ちよく逃げて、そのまま最後まで逃げ切ってしまう馬が結構いるけど、バンドワゴンはまさにそんなタイプ。ホワイトマズルの特徴がよく出ていて、自分の型にはまったらかなり強い。

 でも、基本的には不器用な部類。脚部不安で皐月賞は回避になってしまったけれども、どちらかと言えば、広い東京コースで行なわれるダービー向き。出走できれば面白い。有力馬が牽制し合ってくれたら、楽に逃げられて、大金星もあり得るね。

     ◆          ◆          ◆

 現時点で「番付」を作るとしたら、以上のような感じかな。もちろん、他にも有力馬はたくさんいる。春は全休するみたいだけど、サトノアラジン(牡3歳)なんか、能力的には前頭1枚目くらいに入れたい馬だった。それほど、新馬戦での強さはインパクトがあって、ダービーに出ていたら面白い存在だったと思う。

 また、3歳馬全体を見渡せば、最強馬は他にいる。そう、牝馬のハープスター(牝3歳)。新潟2歳Sで見たときから、牡馬を含めても、この馬はモノが違うと思っていた。オークスに行くみたいだけど、ダービーに出たとしても勝てるんじゃないかな。

  安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として奔走している。

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