【競馬】偉大なる女神・鈴木淑子が語る「心を打たれた春の3歳牝馬」 (4ページ目)
取材に行ったときのトウカイテイオーの姿もよく覚えています。いざカメラを回し始めると、トウカイテイオーはこちらの意図を察しているかのように、ピタッと止まってカメラ目線をしてくれるんですよね。そのときのトウカイテイオーは、「これでいいですか?」「もう十分ですか?」と言っているかのような表情なんです。思わず「やっぱりスターは、自分に求められていることがわかっているのね」なんて、考えてしまいました。
そのトウカイテイオーは、日本ダービーでライバルをまったく寄せつけず、3馬身差の完勝。「無敗のダービー馬から無敗のダービー馬誕生」の瞬間、胸が熱くなりました。スタンドの盛り上がりもすごかったですし、空前にして絶後かもしれないと思ったあのシーンは、大切な宝物です。
もしかしたら今年、その感動的なシーンが再び実現するかもしれません。無敗のダービー馬ディープインパクトを父に持つトーセンスターダムが無敗でクラシックに挑みます。はたしてどうなるか、それも楽しみです。
涙なしでは語れないドラマを何度も見せてくれた春のクラシック。牡馬、牝馬ともに、今年も個性的な面々がそろいました。桜花賞、皐月賞からオークス、ダービーまで、見た人たちが何十年と忘れないような物語が生まれるといいですね。
鈴木淑子(すずき・よしこ)
東京都出身。OLを経験後、キャスターとしてデビュー。1983年からは競馬中継番組(フジテレビ)の司会者を務める。以来、競馬界のさまざまな分野で活躍。女性競馬ジャーナリストの第一人者として多くのファンに親しまれ、競馬メディア界では欠かせない存在となっている。
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