【競馬】実況の神様・杉本清が語る「忘れられない桜花賞」

  • 河合力●構成 text by Kawai Chikara
  • JRA●写真

 それで、競馬担当のプロデューサーにさりげなく言ったんです。
「後輩の馬場は熱意もあるし、技術も十分。もし私に何かあって、実況ができなくなったときのためにも、今から馬場に大舞台を経験させておいたほうがいいのでは」と。

 そういう大義名分を作ったんです(笑)。するとプロデューサーは納得。私がマスターズに行き、馬場が実況することになりました。

 ちなみに、私は当時『スポーツニッポン』に予想コラムを書いていたのですが、その年の桜花賞で本命アラホウトク、対抗シヨノロマンと載せていました。そしてアメリカから帰ってきて、空港でまず桜花賞の結果をチェックすると、なんと1着アラホウトク、2着シヨノロマン。珍しいことにズバリ的中だったのです。

 でも、アメリカに行っていましたからね。馬券は買っていませんでした。「そんな結果になるなら、誰かに馬券を買っておいてもらえば良かった」と後悔しましたよ。とはいえ、マスターズを見ることができたのですから、あんまり欲張ってはいけませんね。

 このふたつが、私の印象に残る牝馬クラシックです。今年はハープスターを筆頭に、スター性のある馬たちがそろった牝馬戦線。ファンの記憶に刻まれる、素晴らしいレースを期待したいと思います。


  
杉本 清(すぎもと・きよし)

1937年2月19日生まれ。奈良県出身。元関西テレビアナウンサー。現在は、フリーアナウンサー、タレント、競馬ライターとして活躍。競馬実況のカリスマ的存在で、関西で開催されるGIレースでは「杉本節」と称される数々の名言を残してきた。

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