2014.03.02

【競馬】生産者も驚愕した、ディープブリランテのデビュー戦

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

 直線入り口で早くも先頭に立つと、あとは一方的なレース。コンビの岩田康誠騎手が軽く仕掛けただけで、瞬(またた)く間に後続を突き放していった。終わってみれば、2着に5馬身差をつけての圧勝だった。

「ヨシッ!」と伊藤氏は心の中で絶叫したという。

「デビュー戦を勝ったときは、とにかくうれしかったです。期待はしていましたが、それを上回る走りに驚きました。レース後は、パソコンでディープブリランテに関するファンの反応を検索しましたね。その走りを称えてくれたり、強さに驚いたりしている人のコメントを見ると、つい顔がにやけてしまいました(笑)」

 スウィーニィ氏も、新馬戦はテレビで見ていたという。翌日の新聞で「ダービー候補」と言われるほどのレースぶりに「もちろんうれしかった」と語った。ただ一方で、まだ冷静に捉えている部分もあったようだ。

「あくまで新馬戦は新馬戦。他の馬の強さがわからない中での戦いなので、あの勝利でダービーを意識するということは正直ありませんでした。強いことは確かです。でもダービーのことを考えると、まだ半信半疑。そういった意味で、次のレースが大事だと思いました」

 真価がわかるのは、2戦目。スウィーニィ氏はあくまでそう考えていたのだった。

 その2戦目は、新馬戦から1カ月半後のレースに決まった。11月19日に行なわれる、GIIIの東京スポーツ杯2歳ステークス(東京・芝1800m)だった。

 2戦目で早くも重賞レースに挑戦。しかも、毎年のようにクラシックの有力候補が集う注目の一戦。その過酷な舞台に、ディープブリランテは挑むこととなった。

 次回は、そこで素晴らしいパフォーマンスを見せる、ディープブリランテの2戦目に迫っていく。

(つづく)

   ハリー・スウィーニィ

1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
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