【競馬】年度代表馬は
オルフェーヴルよりロードカナロアがふさわしい!?

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 そもそも日本では、こういった表彰において、短距離馬の評価は総じて高くない。

   実はこれまで、年度代表馬の前身となる啓衆社賞(1954年~1971年)、優駿賞(1972年~1986年)を含めても、短距離カテゴリーとされるマイル(1600m)以下で良績を残した馬が年度代表馬に選出されたのは、1998年のタイキシャトル、ただ一頭のみ。それ以外はすべて、2000m以上のビッグレースを勝った馬から選ばれている。これは長年、日本の競馬の歴史が短距離を重要視していなかったことによるところが大きい。

 例えば、1996年の高松宮記念(中京・芝1200m)とスプリンターズSの二大短距離GIを制したフラワーパーク(牝)は、最優秀短距離馬にこそ輝いたが、最優秀4歳以上牝馬の受賞は逃した。代わりに選出されたのは、エリザベス女王杯(京都・芝2200m)を制したダンスパートナー(牝)だった。同馬のGI勝利はその1勝だけだったのだが......。

 翻(ひるがえ)って、世界はどうだろうか。ヨーロッパでは3歳時のフランケル(牡)が芝8ハロン(約1600m)以下のレースだけを走りながら、カルティエ賞(ヨーロッパの年度表彰)の年度代表馬に選ばれた(2011年)。アメリカでは2012年、エクリプス賞(アメリカの年度表彰)の年度代表馬にマイラーのワイズダン(せん)が選出された。

 さらに、IFHA(国際競馬統括機関連盟)による、2013年(1月1日~11月24日)のワールドレースランキングでは、オーストラリアの名短距離馬であるブラックキャビア(牝7歳)が、凱旋門賞馬のトレヴ(牝3歳)と同ポイントで1位となった。

 いずれも、短距離馬という理由で評価を下げてはいない。

 また、ロードカナロアの低評価の要因は、日本では欧米やドバイを格上に見る、偏った評価が根強くあるからだろう。その最たるものが、凱旋門賞2着のほうが、香港スプリント優勝よりも価値が上と判断された、昨年の「最優秀4歳以上牡馬」の投票結果だ。逆にタイキシャトルは国内GI2勝もさることながら、フランスのGIジャックルマロワ賞(1998年8月16日/芝1600m)を制したことが高く評価された。

 日本でもまずは、距離やどの国のレースなのかにかかわらず、勝者を讃えるべきではないだろうか。

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