2013.12.20

【競馬】最強馬オルフェーヴル。有馬記念は名馬への「最終関門」

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by AFLO

 また、オルフェーヴル自身の“衰え”も気になる。以前、オルフェーヴルと戦う立場にあった福永祐一騎手は、同馬についてこう評した。

「日本の馬でかなう馬はいない」

 それほど無敵を誇っていたが、前述した阪神大賞典の逸走後、日本の馬にも負けるようになった。直後の天皇賞・春(2012年4月29日/京都・芝3200m)では、11着と惨敗。その秋には、前述のとおり、3歳牝馬のジェンティルドンナに敗れた。

 2年連続2着の凱旋門賞にしても、昨年はクビ差の惜敗だったが、今年は勝ち馬から5馬身の差をつけられた。もちろん相手が違うし、レース内容も異なるだけに、1着馬との差だけで実力の浮き沈みは測れない。とはいえ、直線に入ってからの凄まじい勢いやパフォーマンスは、昨年と今年とでは明らかに違った。

 これは“衰え”を意味するものなのか。前出の専門紙トラックマンが語る。

「昨年の有馬記念に続いて、今年の宝塚記念(6月23日/阪神・芝2200m)も『体調が整わない』として回避しましたからね。このように回避が続くのは、“衰え”からくるのかどうかは別にして、オルフェーヴルの強さが以前ほどではない証拠かもしれません。今回、有馬記念に出走する他の陣営も、オルフェーヴルに『隙あり』と見ているところは少なくないし、オルフェーヴルの『1強』と言われながら、フルゲート(16頭出走)になったのは、そういう意味合いもあるでしょう」

 オグリキャップ(1990年)の「奇跡のラストラン」で知られるように、有馬記念は名馬が現役の最後に、まさに名馬としての真価を見せつけるレース。けれども、オグリキャップ以降、有馬記念をラストランとして臨んで勝利を飾ったのは、シンボリクリスエス、ディープインパクトの2頭しかいない。いずれも記録にも記憶にも残る、伝説となった名馬たちだ。

 今回、オルフェーヴルも勝って、それら伝説の名馬の仲間入りを果たすことができるのか。そういう意味では、オルフェーヴルにとっての有馬記念は、ラストランの感傷に浸るようなレースではなく、現役時代の最後の最後に待ち受ける、どうしても打ち破らなければならない関門なのだ。

“反骨心”が走る装置となった稀有(けう)な馬。最後にもう一度、ライバルに「日本の馬ではかなう馬はいない」と言わせるような強いオルフェーヴルが見たい。多くのファンがそう願っている。