【競馬】矯正馬具の着用馬が「買えるとき」「買えないとき」 (2ページ目)

  • text by Sportiva

――先ほど、海外ではほとんどメンコを着用する馬を見かけないという話でしたが、何か理由があるのでしょうか。

秋山 欧州では、競馬場を見ても、もともとの地形を生かしたコースになっています。それと同じように、競走馬に対しても、できる限り"自然のまま"というのが、主流の考え方です。つまり、人工的な道具に頼るなど、必要以上に人の手が加わることをよしとしない文化があるからではないでしょうか。

 ただ、これは余談ですが、何年か前のジャパンカップの際、あるフランスの馬が来日後に非常にテンションが高くなってしまったんです。それで、その馬の関係者が、日本馬が使用しているメンコのことを知って、初めて着用してみたら、かなりの効果があったそうなんです。レースでは事情があって使えなかったみたいですが、「これはいいぞ」と思った関係者がメンコをフランスに持ち帰ったら、現地ですごく評判になって、一時的にメンコが大流行したらしいですよ。

――さて、これまでいろいろな矯正馬具の効果を教えてもらいましたが、そうした馬具をつけている馬の馬券を買う際の注意点はありますでしょうか。例えば、レース前に「今回からブリンカーを着用します」という関係者の談話があった場合、それをうまく馬券に結びつける方法はありますか。

秋山 ブリンカー(強制的に馬の視界の一部を奪って、視野を狭める馬具)の場合だと、それまでのレースではちょっと脆(もろ)さのあった馬が着用してきたら、注意したいですね。例えば、逃げたときの成績はいいけれども、スタートで遅れをとってしまい、近走の成績が不振の馬なんか、狙い目かもしれません。要するに、そういう馬は出遅れて馬群に包まれると、怖がってどんどん位置取りが下がってしまうんですが、ブリンカーを着用した瞬間、たとえスタートが悪くても、周囲を気にせずに加速して逃げられる可能性があるんです。

 あとは、レース後に「集中して走れない」とか「ソラを使う(直線で先頭に立つと気を抜くこと)」といった発言が騎手から出てくる馬ですね。そういうタイプの馬が次走からブリンカーを着けたりすると、集中力が増して真面目に走ることがあります。

 何はともあれ、矯正馬具の効果があるのは、能力はあるけれども、気性が災いしてレースで結果を出せないタイプです。そんな馬が、今まで使ったことのなかった馬具を着用してきたり、これまでとは違う馬具をつけてきたりしたら、あっさりと勝ってしまうことはよくあります。もちろん、結果が出ない場合もありますが、新たに馬具を着用する場合は、わりと人気を落としている場合が多いので、思い切って狙ってみるのも面白いと思いますよ。

 逆に、結果が出ている馬が矯正馬具をつけてきたら、逆効果になる場合があるので気をつけたいところです。もしそれが人気馬の場合は、思い切って外して、高配当を狙ってみてもいいかもしれませんね。
(第1回から読む>)

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