【競馬】ディープブリランテに続く「大物」登場の予感 (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 写真提供:パカパカファーム

 3頭に続いたのが、牡馬のゼウスバローズ(父ディープインパクト)と牝馬のオフェーリアシチー(父アドマイヤコジーン)だ。

 ゼウスバローズはディープブリランテの弟で、デビュー前から評判になっていた一頭。牧場長のハリー・スウィーニィ氏が「兄のディープブリランテよりは、父のディープインパクトに似ている」と評した“大物”で、10月27日の2歳新馬(東京・芝2000m)で満を持してデビューした。500kg前後の雄大な馬体を持っていた兄よりも、458kgとスリムにまとまった馬体で登場し、一番人気でレースを迎えた。

 しかし、このレースにはディープインパクト産駒のラングレー、ベルキャニオンという、世代きっての素質馬も参戦。直線で3頭が抜け出すレース展開となったが、ゼウスバローズは勝ったラングレーからコンマ1秒遅れの3着に敗れた。

 黒星スタートになったものの、続く未勝利戦(11月9日/京都・芝2000m)では、中1週のローテーションや、マイナス14kgの馬体減をものともせずに快勝。ゼウスバローズの能力の高さは疑う余地がなく、来春のクラシック戦線に乗る逸材と言えるだろう。

 そして、ゼウスバローズが初勝利を決めた日に、オフェーリアシチーも未勝利戦(福島・芝1200m)を逃げ切り勝ち。同じ牧場で育った同世代の2頭が、同日に白星を挙げたのだった。年間20頭ほどの生産規模の牧場で、このようなことが起こることは極めて珍しい。生産馬の能力の高さはもちろん、順調に使える丈夫さを兼ね備えているからこそ、実現した快挙だろう。

 そのほか、叔父にGI2勝のブラックホーク、叔母にNHKマイルカップを勝ったピンクカメオがいるユニコーンバローズ(父マンハッタンカフェ)も目が離せない存在。デビュー戦(9月15日/阪神・芝1800m)は4着に敗れたとはいえ、一時は先頭争いに加わるなど見せ場を作った。いつ結果を出してもおかしくない。

 今年のパカパカファームの生産馬はまさに粒ぞろい。来春のクラシックに向けて躍動し、大舞台の中心に君臨する馬が登場しても何ら不思議はない。


  ハリー・スウィーニィ

1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
『パカパカファーム』facebook>

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