【競馬】アルゼンチン共和国杯、例年とは違う「穴馬」台頭の予感 (2ページ目)

 ムスカテールは、昨年の2着馬であり、同じ条件で行なわれた今年の目黒記念(5月26日/東京・芝2500m)の覇者です。特に目黒記念では、鮮やかな末脚を見せてレコード勝ち。この舞台との相性は抜群です。

 一方、アドマイヤラクティは、そのムスカテールが快勝した目黒記念で1番人気に推されていた馬です。結果は、10着と大敗。レコード決着になった速い馬場が敗因に挙げられていました。しかし僕は、その前の天皇賞・春(4着。4月28日/京都・芝3200m)を激走した反動もあったのではないかと思っています。3200mのGIというのは、それほどタフなレースですからね。目黒記念では同馬の実力を出せなかっただけで、その大敗は度外視してみてもいいでしょう。

 第一、秋初戦の京都大賞典(10月6日/京都・芝2400m)では、4着と好走しています。同レースの2着は、先日の天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)で4着と奮闘したアンコイルドで、3着は天皇賞・春(4月28日)の2着馬トーセンラー。そして、本来の能力を出し切ったかはわかりませんが、宝塚記念(6月23日/阪神・芝2200m)などGI4勝のゴールドシップ(5着)には先着しています。その比較から、今回のメンバーの中では格上と見てもいいでしょうね。

 また、2頭とも、鞍上が外国人騎手というのは魅力です。外国人騎手と言えば、大きなアクションが特徴ですが、彼らは決してバランスを崩しません。馬に負担のかからないような追い方をしながらも、馬の反応はよく、グイグイと伸びていきます。ムスカテールに騎乗するU・リスポリ騎手にしても、アドマイヤラクティの手綱をとるI・メンディザバル騎手にしても同様で、さすが世界のトップジョッキーといった彼らの手腕にも注目です。

強烈な末脚を秘めているホッコーブレーヴ。強烈な末脚を秘めているホッコーブレーヴ。 さて このレースの「ヒモ穴馬」には、ホッコーブレーヴ(牡5歳/54kg)を取り上げたいと思います。1600万下の前走オクトーバーS(10月5日/東京・芝2400m)を勝って、ようやくオープン入り。今回は昇級初戦で、しかも重賞レースになりますが、決め手勝負なら一発の期待が持てます。

 なにしろ、スローで流れたオクトーバーSは、内から早めに抜け出した1番人気スーパームーン(牡4歳)の完全な勝ちパターンでした。おそらくスーパームーンの鞍上・内田博幸騎手も勝利を確信していたことでしょう。ところが、直線を迎えた際には、まだ後方3、4番手にいたホッコーブレーヴが、大外から桁違いの脚を見せてスーパームーンを差し切ったのです。

 春先は、惜しい競馬が続いていました。運もなくて結果を出せませんでしたが、前走でその鬱憤を晴らし、完全に本格化した印象があります。今回は、昇級戦のため、ハンデも54kgと恵まれました。前走以上の決め手を見せても不思議ではありません。

 鞍上は田辺裕信騎手から三浦皇成騎手に代わりますが、もともとは三浦騎手のお手馬です。気心が知れているコンビだけに、まったく問題はないでしょう。人気薄で気軽に乗れますし、一発の期待がますます膨らみます。

馬券を獲りたい人はこちらも必見!
【みやこS】ココだけの『オフレコ情報』を全て無料で公開!!

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る