【競馬】アルゼンチン共和国杯、例年とは違う「穴馬」台頭の予感

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 秋のGIシリーズの狭間に行なわれるのは、GⅡのアルゼンチン共和国杯(11月3日/東京・芝2500m)です。

 昨年もこのコラムで紹介したように、同レースは波乱の傾向が強いです(2012年11月3日配信。「『荒れる』アルゼンチン共和国杯。波乱の主役はルルーシュ」)。同じ東京競馬場の芝2400mで行なわれる日本ダービーやジャパンCより100m長いだけですが、このわずかな距離延長が意外な結果をもたらします。

 その要因のひとつは、東京・芝2500mで開催されるレースが少なく、重賞ではアルゼンチン共和国杯と、同じハンデ戦の目黒記念しかないからでしょう。その分、頻繁に行なわれるレースとは違った駆け引きがジョッキーたちの間に生まれ、それが、時に思わぬ展開を引き起こすのだと思います。

 スタート地点は、上り坂の途中です。そして、1コーナー入り口までの距離が長いため、レース序盤のラップはわりと落ち着きます。ただし、そこから道中のペースが緩むことはほとんどありません。負担重量が軽い人気薄の馬は先手からの粘り込みを図り、重いハンデを背負った実績のある人気馬も早めに仕掛けていくからです。つまり、レースはスタートから淀みなく流れて、芝2400mに比べると持久力勝負になります。それも、波乱になる要素のひとつかもしれませんね。

 昨年も、他馬より軽量のミッキーペトラ(54kg)と、斤量50kgの最軽量馬イケドラゴンが先手を争って、ハンデの重いマイネルキッツ(58kg)やビートブラック(59kg)が早めに仕掛けていくという、持久力勝負となりました。ちなみに、勝ったのは、先手争いのすぐ後ろにつけていたルルーシュ(56kg)でした。持ち前のスタミナを生かして、タフな競馬を制しましたね。

 しかし、今年は例年とは異なる展開が予想されます。というのも、まず先手を主張する馬が、イケドラゴン(牡8歳)とコスモラピュタ(牡6歳)だけで、コスモラピュタ(53kg)より斤量が5kgも軽いイケドラゴン(48kg)がすんなりハナを奪いそうだからです。早々に隊列が決まれば、序盤からかなり落ち着いた展開になると、僕は思っています。

 さらに、この2頭の近走はパッせず、例年の軽量逃げ馬に比べて怖さがありません。有力各馬にしても、今年はトップハンデが57.5kgと負担重量が例年よりも軽いため、焦って仕掛けることはないと思います。そうすると、一層ペースは落ち着きます。いつもなら上がり3ハロン(600m)が34秒台後半から35秒台になる決着も、今年はスローで流れて勝ち馬が33秒台を記録するような、決め手勝負になりそうです。

 決め手争いになって注目されるのは、ムスカテール(牡5歳/57.5kg)とアドマイヤラクティ(牡5歳/57.5kg)です。

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