【競馬】スロー必至の菊花賞。本命エピファネイアの逆転候補はいるか (2ページ目)

 さて、注目のエピファネイアですが、前走の神戸新聞杯(9月22日/阪神・芝2400m)では、課題の折り合い面をクリアし、騎手のGOサインにも鋭く反応。終(しま)いもきっちり伸びてきました。外側からレースを見る限り、完勝だったと思います。しかし実際のところは、ぎりぎりの勝利だったのではないでしょうか。少しのことで折り合いを欠いて、かかってしまいそうな雰囲気が随所で見られたからです。鞍上の福永祐一騎手が何とか凌(しの)いだ、というレースのように感じました。

 神戸新聞杯に比べて、菊花賞ではさらにペースが遅くなります。近年、その傾向はますます強くなっています。そのうえ、前述したように他の馬が牽制して、よりペースが遅くなると、エピファネイアにとっては厳しいレースになるでしょう。

 そうは言っても、今回は皐月賞馬(ロゴタイプ)も、ダービー馬(キズナ)もいません。それぞれのレースの3着馬(コディーノとアポロソニック)さえも出走しません。加えて、東西のトライアルレース、神戸新聞杯とセントライト記念(9月17日/中山・芝2200m)で出走権利を得た馬は、それまでに2勝しかしていない馬がほとんど。春の二冠(皐月賞、ダービー)はともに2着と好走し、4勝馬のエピファネイアは実績、実力ともに断然の存在です。

 ならば、エピファネイアにとって菊花賞は"自分との戦い"と言えるでしょう。折り合えさえつけば、あっさり勝てると思います。逆にそれが実現できなければ、他の馬に負けたというよりは"自分に負けた"ということになるのではないでしょうか。皐月賞、ダービーでは悔しい思いをしているだけに、福永騎手とエピファネイアにはその鬱憤(うっぷん)を晴らしてほしいところですが、はたしてどうなるか。福永騎手の騎乗ぶりが注目されます。

 ところで、今回の「ヒモ穴馬」ですが、北村宏司騎手が手綱をとるユールシンギング(牡3歳)を取り上げたいと思います。今年の5月、ようやく未勝利(5月12日/東京・芝1800m)を脱出。9月に500万条件戦(9月1日/新潟・芝1800m)を勝ったばかりの馬ですが、前哨戦のセントライト記念で勝って、最終クラシックの切符を手にしました。

 一見、ぎりぎり三冠レースに間に合った感がありますが、ユールシンギングは一戦一戦消化するごとに、すこぶる成長しています。特に9月の500万条件戦では、まだまだ緩い仕上がりに見えました。にもかかわらず、後方から長くいい脚を使って、最後は鋭く伸びて差し切り勝ちを収めました。未勝利を勝ったときもインパクトがありましたが、それ以上に「菊花賞では"惑星(穴馬)"的な存在になるかもしれない」と思わせるようなレースぶりでした。

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