【競馬】凱旋門賞、現地メディアが語るオルフェ&キズナの「勝算」

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 トレヴは、オルフェーヴルとキズナ同様、9月15日に同じロンシャンで行なわれた牝馬(3歳以上)のGIヴェルメイユ賞(芝2400m)に出走。古馬相手に快勝し、デビューから無傷の4連勝を飾った。現在、ブックメーカーではオルフェーヴルに次ぐ2番人気の評価となっている。

 そもそも、今年6月に行なわれたフランスのオークスにあたるGIディアヌ賞(シャンティイ・芝2100m)をレコードタイムで制したトレヴ。その直後に、現カタール首長の実弟であるシェイク・ジョアン・ビン・ハマド・アル=サーニ氏が、すかさず購入したほどの素質馬だ。そして、トレード後初のレースとなったヴェルメイユ賞もあっさり勝ってしまうのだから、凱旋門賞で本命視されるのも無理はない。

「(日本馬にとって)間違いなく、いちばんの強敵になるはずです。馬込みを気にすることなく、自力で割って抜け出してくるパワーと終(しま)いの伸び脚は、歴代の名牝に並ぶものがあります」(バートン氏)

 馬の実力もさることながら、その力を遺憾なく発揮させるのが、世界屈指の騎乗技術を持つと言われる、鞍上のランフランコ・デットーリ騎手。昨年、薬物使用で半年間の騎乗停止処分を受け、雌伏(しふく)の時間を過ごしていたが、処分後に前述のシェイク・ジョアン氏と専属契約を交わし、再び表舞台に帰ってきたのだ。

 そんなトレヴの他にも、GI連勝中のノヴェリスト、オリビエ・ペリエ騎手が騎乗するフランスダービー馬アンテロ(牡3歳/フランス)、そして巻き返しを狙うフリントシャーやルーラーオブザワールドなど、昨年の凱旋門賞よりも明らかにレベルの高いメンバーが「打倒・日本馬」に燃えている。

 世界最高峰のレースだけあって、やはり一筋縄にはいかない。だが、そのハイレベルな一戦を制してこそ、タイトルの価値は一層高まることだろう。

 本番を間近に控えて、オルフェーヴル、キズナの両陣営からは不安が微塵も感じられない。万全の態勢を整えて、静かに闘志を燃やしている。

「(レースまで)1週前の負荷としては、申し分のない動き。息の入りも良くて、思いどおりのいい調教ができています」

 と、オルフェーヴルを管理する池江泰寿調教師が語れば、キズナの調教を担当する山田誠二調教助手も順調さをアピール。

「トモ(後肢)の筋肉に丸みが出て、前哨戦の1週前と比べても動きがかなりよくなっています」

 昨年はゴール目前で潰えた日本調教馬の悲願。ついに今年、その夢は成し遂げられるのか。現地10月6日の決戦から目が離せない。

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