【競馬】凱旋門賞へ、キズナ、オルフェが見せた底知れぬ「能力」 (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 昨年、ゴール前で失速した凱旋門賞の悪癖はきちんと修正してきた。もちろんその際、オルフェーヴルの持つ良さまで打ち消してしまわないように調整を重ねてきた。その最終チェックが、今回のレースだったという。

「昨年(5頭)より頭数がそろった今年(9頭)のレースで、きちんと競馬ができるか、直線で抜け出してから真っ直ぐ走れるか、という点を確認しました。昨年は(ペースメーカーを務めた)アヴェンティーノに頼り過ぎていたけれども、今年は(オルフェーヴルに)自立心がついて、レースでも落ち着いていました」

 特筆すべきは、今回のフォワ賞は、オルフェーヴルにとって大阪杯以来、およそ5カ月半ぶりとなる休み明けのレース。なおかつ、今年に入ってまだ2戦目。その内容は完成の域に達したと言っても過言ではないものだったが、次回の本番ではひと叩きされて、さらなる上積みが見込めるということだ。

 それは、オルフェーヴルにとっても、池江調教師にとっても、未知なる領域となる。そこで見られるのは、とてつもない強さなのか、これまで見せた以上の“やんちゃスイッチ”なのか、誰にもわからない。ゆえに、キズナを管理する佐々木調教師の言葉を受けて、池江調教師は自身の期待と不安を抑え込みながら、こう語った。

「私たちも、最大のライバルは、オルフェーヴルです」

 底知れないポテンシャルを持つキズナと、別次元に達しようとしているオルフェーヴル。両馬が挑む、注目の凱旋門賞(現地10月6日)から目が離せない。

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