【競馬】格安の新種牡馬、マツリダゴッホの評価が高いワケ

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by AFLO

「産駒の持つ成長力の高さが、好成績につながっていると思います。というのも、マツリダゴッホの子はトレーニングをすればするほど、動きが良くなっていくんですね。しかも、産駒は総じてタフで、強い負荷をかけても疲れが出たり、体を痛めたりすることがほとんどありません。成長期に当たる1~2歳時に目一杯トレーニングを行なえるのは、能力を高めるうえでとても有効なんです」

 実は今年の2歳戦がスタートする前、関係者の間では、すでにマツリダゴッホ産駒の評判が高まっていた。それはまさしく、デビューへ向けて基礎体力を作る中で、産駒の動きが目に見えて良くなったからだった。そしてその成長力こそ、「マツリダゴッホ自身が持っていた長所」だと海老原氏は語る。

「マツリダゴッホがまだ1歳の頃、つまり現役デビューする前から、私はその姿を間近で見ていました。当時は、背は高いけれども、体がヒョロっとしている印象で、見た目には目立つ馬ではありませんでした。しかしトレーニングを始めると、調教を消化するごとに動きに迫力が増し、肉づきもどんどん良くなりました。あまりの成長力に驚いたことを、今でもよく覚えています」
 
 マツリダゴッホの初年度産駒が生まれたときも、父と同様、背が高く細身のシルエットの馬が多かったという。だが、調教を始めると体つきは見違えるように変わり、動きもグングン良くなった。父が幼少期に見せた成長力が、きちんと子に受け継がれていたのだ。

 さらに、種牡馬マツリダゴッホが持つ大きな魅力は、成長力だけではないという。

「遺伝力が強過ぎないことも、マツリダゴッホの良さですね。デビューした産駒を見ると、どの馬もきちんと"マツリダゴッホらしさ"を備えながら、同時に母の良さを受け継いでいます。これは種牡馬にとって、とても重要なこと。父の遺伝力が強過ぎるために母の良さを消してしまったり、あるいはその逆になったりするのはあまり望ましくありません。母の良さを出しつつ、自分の血を伝える、絶妙なバランスをマツリダゴッホは持っています」

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