2013.07.07

【競馬】外国人牧場長だからこそ開くことができた「門戸」

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

 スウィーニィ氏が来日した際に感動した、日本の競馬システム。または、急速に発展し、世界に通用する競走馬を生み出すまでになった日本の馬産。これらを間近で見た研修生の中から、ヨーロッパのスターホースを生産するホースマンが現れる日も、そう遠くないかもしれない。あるいは、この研修により、日本での牧場経営を目指す者が出ることもあるだろう。パカパカファームの試みは、海外の学生にさまざまな可能性を与えていると言える。

 一方で、研修生を受け入れることは、普段からパカパカファームで働いているスタッフにも効果をもたらしていると、スウィーニィ氏は言う。

「毎年、いろいろな学生がこの牧場に研修に来ますが、その度にこちらのスタッフの働きぶりも良くなります。『若い人たちの手本にならなければ』という意識もあるでしょうし、新しい人が入ることで刺激になっているのでしょう。この辺りは田舎町ですから、多くの人と知り合う機会もあまりないんです。そういう意味では、研修生を受け入れることで、こちらのスタッフのモチベーションが上がっているのかもしれませんね」

 おまけに、馬科学を専攻するヨーロッパの学生には、女性が多いという。スウィーニィ氏は、「きれいな研修生が来ると、男性スタッフの働きぶりはビックリするくらい変わりますよ」と笑った。

「スタッフについて考えることは、牧場経営においてとても重要」と、何度も繰り返したスウィーニィ氏。その話をしている合間には、牧場近くの、廃校となったある小学校に案内してくれた。

 実はこの小学校にも、スウィーニィ氏のスタッフに対するユニークなアイデアが隠されていたのである。次回は、その試みを紹介する。

(つづく)

 ハリー・スウィーニィ

1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
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