【競馬】外国人牧場長だからこそ開くことができた「門戸」

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第18回

2001年にパカパカファーム(北海道新冠町)を開場したアイルランド人のハリー・スウィーニィ氏。これまで彼は、日本従来のやり方とは違う、斬新な手法で牧場を発展させてきた。それは、競走馬の育成に関することだけでなく、競馬界の人材育成の面においても同様で、スウィーニィ氏は他の牧場では見られない、独創的な試みを行なっている。

パカパカファームの雄大な環境の中で育った競走馬たちが、今年も続々とデビューし始めている。パカパカファームの雄大な環境の中で育った競走馬たちが、今年も続々とデビューし始めている。
 6月1日から始まったJRAの2歳新馬戦(メイクデビュー)。昨年の日本ダービー馬ディープブリランテの生産牧場であるパカパカファームからは、これまでに3頭の2歳馬がデビューし、そのうち1頭が勝利を収めるなど、好成績を挙げている。

 パカパカファーム生産の2歳馬(2011年産)の中で、先陣を切ったのは、牝馬のホトトヤエ(父サクラバクシンオー)。2歳戦開幕日の東京競馬場で行なわれた新馬戦(芝1400m)に出走し、スムーズなスタートから2番手で追走するも、勝ち馬からコンマ1秒差の3着に終わった。2週間後に臨んだ2戦目(芝1400m)でも、1番人気で4着に敗れたが、近いうちに勝利を手にできそうな存在だ。

 6月23日に東京競馬場で行なわれた2歳新馬戦(芝1600m)には、マイネグラティア(父ネオユニヴァース)と、キネオダンサー(父ディープインパクト)という、2頭のパカパカファーム生産馬が登場した。スローペースでレースが進む中、後方に待機した2頭は直線で、内、外分かれてコースをとった。内を選んだキネオダンサーは、スタートの出遅れや、直線で進路の確保に手間取るロスがあったものの、まずまずの伸び脚を見せて5着。次に期待が持てる内容だった。

 片や、大外に持ち出したマイネグラティアは、鞍上のムチに反応すると、上がり3ハロン(600m)33.9秒の末脚を繰り出し、見事1着でゴールイン。2歳重賞が視野に入ってくるような、高い能力を見せつけた。

 マイネグラティアは、昨年のセレクトセールにおいて、ビッグレッドファームが1050万円で落札した牝馬。騎乗した柴田大知騎手は、「フワフワしていながらも勝つのだから、この先がとても楽しみ」と評価した。同馬の今後には注目しておきたい。

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