【競馬】宝塚記念、「3強」断然ムードを崩す馬はいるのか

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 トーセンラーの全3勝は、すべて京都競馬場。これは、仕掛けどころとなる3、4コーナーが下り坂のため、加速時にモタつくという弱点を補えたからだった。対して、今回の舞台は阪神競馬場。コースの助けはないが、天皇賞・春で見せた反応の良さが本物なら、京都競馬場以外でも、今までとは違う走りを見せられるのではないだろうか。

「3強」にも、決して不安がないわけではない。ジェンティルドンナはさまざまなコースで勝っているが、圧倒的なパフォーマンスを見せたオークスやジャパンカップは、左回りの東京競馬場。阪神競馬場や京都競馬場などの右回りコースでは、同世代牝馬のヴィルシーナ(牝4歳)に迫られている。牡馬の一線級が相手となれば、苦戦を強いられる可能性もある。

 ゴールドシップの不安は、言わずもがな、そのレーススタイル。最後方からのロングスパートという型破りな戦法は、ペースや馬群の隊列による不利を受けやすい。今回、内田博幸騎手がつきっきりで調教を行なっているのも、陣営の危機感の表れと言えよう。

「3強」の中でもっとも盤石と言えそうなフェノーメノも、前走の天皇賞・春は、生涯初の関西遠征だった。しかも3200mのスタミナ戦。2戦連続の関西遠征で疲れが出ないとも限らない。

 どれもアラ探しのようなわずかな不安材料だが、ひとつでも現実となれば、トーセンラーが上位に食い込む隙は出てくる。まして鞍上は、好調の武豊騎手。大舞台でこそ発揮する「豊マジック」と称される好騎乗で、奇跡を起こしても不思議はない。

 5歳を迎えて、充実一途のトーセンラー。自身の成長を武器に、虎視眈々と「3強」崩しを狙う。

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