【競馬】「3強」がしのぎを削る宝塚記念。頂点に立つのはこの馬だ

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

天皇賞・春を制して、勢いに乗るフェノーメノ。天皇賞・春を制して、勢いに乗るフェノーメノ。「3強」の残る一頭は、フェノーメノ。実績的には2頭に劣る。とりわけ、対ジェンティルドンナでは、昨年のジャパンカップでコンマ8秒差の5着に退けられている。

 コンマ8秒差というと、およそ5馬身の差。これは、力関係としては決定的な差だ。天皇賞・春でGIホースの仲間入りをしたとはいえ、その差を埋めて、ジェンティルドンナを逆転できるか、というと疑問がある。

 ところが、関東の専門紙記者の見解は違った。現状では、ジェンティルドンナとも、致命的な差はないという。

「フェノーメノがゴールドシップと違うのは、昨年の天皇賞・秋やジャパンカップで、古馬一線級の強い相手と戦ってきたこと。そこで負けたとはいえ、負けることで競馬を覚えてきました。ひとつの例が、道中の我慢。我慢を覚えることで、この馬はグンッと強くなりました。ジャパンカップにしても、ジェンティルドンナは競馬が最高にうまくいった。片や、フェノーメノはうまくいってなかったからで、もともとあれほどの(力の)差はなかった。ジェンティルドンナとの差は、逆転しているかどうかは微妙ですが、互角に戦えるところまで力はついてきていると思います」

 また、この記者の話によれば、主戦の蛯名正義騎手は、宝塚記念が「4強」と言われても、当初は「オルフェーヴルが強いから」と、気楽な立場を強調していたらしい。それが、オルフェーヴルの回避が決まるや、目の色が変わったという。つまり、昨秋のレースで5馬身ちぎられたジェンティルドンナが相手でも、「勝算がある」と見ているということだ。

 オルフェーヴルがいなくなり、俄然勝負気配が増した「3強」。勝つのは「勝ちたい」という気持ちが最も強い馬。ジャンティルドンナは秋に凱旋門賞挑戦というビッグプランがある。それを実現させるには、ここはどうしても勝ちたいところ。勝利にいちばん近いのは、この馬だ。

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