【競馬】「3強」がしのぎを削る宝塚記念。頂点に立つのはこの馬だ (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

 二冠馬ゴールドシップは、断然の人気を集めた前走の天皇賞・春(4月28日/京都・芝3200m)で5着と馬群に沈んだ。それだけに、陣営は巻き返しに燃えている。宝塚記念に向け、主戦の内田博幸騎手がわざわざ栗東に駆けつけて、付きっ切りで調整を行なってきた。

「実は、前走の天皇賞・春の最終追い切りは、坂路の馬場状態がよくないということで、芝コースで行なった。今思えば、あれが馬にはよくなかったのかもしれません。今回はきちんと坂路で調整していますし、動きもいい。巻き返しは十分に可能な状態です」(関西専門紙トラックマン)

 管理する須貝尚介調教師の意欲も相当なものだという。前走の敗戦から、ゴールドシップが得意とする後方から長く脚を使った“マクリ戦法”では、強敵相手のGIでは限界があると判断。「今度は違う競馬をさせてみたい」と、須貝調教師は挽回に自信を見せる。

「違う競馬」とは、おそらく道中の位置取りをもう少し前にするという意味だろう。ゴールドシップの新たな一面が見られるのは楽しみではある。が、一方で「はたして、その競馬で持ち前の豪脚が発揮できるのか」と、「違う競馬」に対して不安を抱く競馬関係者もいる。

 関西の競馬専門紙記者が言う。
「(天皇賞・春が行なわれた)京都は、直線手前が下り。その分、前を行く馬も惰性でスピードがつくから、もともと“マクリ戦法”は不発になる危険性があった。でも逆に、阪神は直線が急な上り坂。マクリはハマりやすい。実際に、ゴールドシップは(阪神で行なわれた)神戸新聞杯も、阪神大賞典も、強い競馬で勝っています。そういう意味では、宝塚記念こそ“マクリ戦法”に徹するべきレース。もし、何か違うことをやろうとすれば、思わぬ惨敗もありえます」

 昨年暮のグランプリ(有馬記念)で頂点に立ったゴールドシップ。今回の夏のグランプリ(宝塚記念)で、改めてその真価が問われそうだ。

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