【競馬】「3強」がしのぎを削る宝塚記念。頂点に立つのはこの馬だ (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

 こうした実績は、「3強」の中で抜けている。そのため、オルフェーヴルが不在となった今、実質この馬の「1強」という声さえある。

 現在の調子も良好だ。一般的に海外遠征後の国内初戦は不利と言われるが、ジェンティルドンナの場合は、ドバイのレースから3カ月近く間隔が開いたことで、疲れはすっかり取れている。先週の1週前追い切りでも抜群の動きを披露し、臨戦過程を不安視する声を一掃した。

 追い切りの様子を見ていた関西の競馬専門紙トラックマンが語る。
「以前は(追い切りで)そこまで動く馬じゃなかったのに、坂路調教で、日曜日(6月16日)にダート重賞のユニコーンSを勝ったベストウォーリアに楽々先着した。ラスト1ハロンの時計(12.4秒)は、この日の最速タイ。唸っていましたね。こんなに状態のいいジェンティルドンナを見るのは、昨秋のジャパンカップ以来です。石坂正調教師も『筋肉の量が去年とは違う。成長している』と絶賛していました。状態面に関しては、文句をつけようがありません」

 直前の追い切りでも、抜群の動きを見せて、まさに万全の状態にある。

 唯一、不安があるとすれば、阪神競馬場という舞台。過去の戦績は4戦3勝で、GIの桜花賞も制している。ならば、一見問題ないように見えるが、本質的には力がいる阪神よりは、京都のようなスピードの出る軽い芝のコースが向くタイプ。ドバイ・シーマクラシックでも、最後はセントニコラスアビーに力負けしたというより、力のいる馬場に伸び脚を封じられた感があった。

 前出のトラックマンも、その点は気にかかっているという。
「ジェンティルドンナ自身、決して阪神が苦手というわけじゃないんです。でも、パワーでは牡馬のほうが上。勝負どころで、パワーで勝る牡馬との叩き合いになったときには、ほんの少しですが、心配はあります」

 日本列島はまさに梅雨本番。週中の雨が、宝塚記念当日の阪神の馬場にも少なからず影響するはず。一層力のいる馬場になった場合、それが、ジェンティルドンナにとっては、残る「2強」以上に難敵となるのかもしれない。

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