2013.06.09

【競馬】「パカパカファーム流」繁殖牝馬の選び方

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

 40万円はもちろん高額だが、海外、特に競馬の本場であるイギリスの登録料の高さは日本の比ではない。例えばイギリスのダービーは、4回の登録機会があり、計7000ポンド(約105万円)が必要となる。追加登録料はさらに高く、レース2カ月前からの登録は計2万500ポンド(約375万円)、レース直前になると7万5000ポンド(約1125万円)に跳ね上がる。

 そして、この登録料の違いによって変わるのが、出走権利を持つ馬の数。登録料が高いイギリスでは、クラシック登録する競走馬の割合が日本より少ないため、登録さえしていれば、収得賞金の少ない馬でもクラシックに出やすい(1戦1勝の馬が出走することも少なくない)。しかし、日本では多くの馬がクラシック登録を済ませているため、早いうちから結果を出して、賞金を稼いでおかなければ、クラシックの出走権を得られないのだ。

「ヨーロッパでは、クラシック直前に才能が開花すれば、おおよそ問題ありませんが、日本ではもっと早くから成績を残さないと、クラシックに出ることさえできません。ですから、たとえ欧州のクラシックを制した名牝とはいえ、彼女が遅咲きだった場合、さすがに購入するのは躊躇します。というのも、その子どもも同じような成長曲線を描くことが多く、日本ではクラシックの出走権利を得られない可能性があるからです」

 牧場開場前のトレーダー時代から、常にスウィーニィ氏は「日本と海外の違い」を意識し、それに合わせた馬選びを行なってきた。パカパカファームの輸入繁殖牝馬は、まさしくその哲学を集約したものと言っていいだろう。

 さて、牧場発展のためにスウィーニィ氏が行なったことは、繁殖牝馬の輸入だけではない。次回は、パカパカファームが独自に開発した飼い葉(馬の飼料)、『パカパカミックス』について紹介する。

(つづく)


   ハリー・スウィーニィ

1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
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